台湾にもラーメン二郎系のお店が増えているようで、台湾でラーメンツアーをしてからうちの店に来てくれたそうです。その方はウチのラーメンを食べて「台湾よりもここのほうがおいしい!」と褒めてくださりました。
――ジロリアンから褒めてもらえるのはかなりの自信になりますね!
ヨンウン氏:ほかにも、韓国在住の日本人のお客さんが「なんで日本に出店しないの?」「十分日本でも通用するのでは?」と言ってくださることがよくあります。最近は、そういう言葉を耳にすることが増えて自信がつきましたし、経営を楽しめるようになってきました。
◆本場二郎の接客スタイルをリスペクトしつつも自店には取り入れず
――本場の二郎によくある、独特の接客スタイルについてどう思いますか?
ヨンウン氏:スマホを触りながら食べたらいけない、おしゃべりをしながら食べたら怒られるなどの文化ですよね。経営のためであることは理解していますし、あのような独特な文化はおもしろいとも感じます。うちの店に取り入れたいと思うこともありますよ。「早く食え!」「スマホを見るな!」って(笑)
――ただ、566ラーメンのお客さんは飲食をゆっくり楽しんでいるイメージです。
ヨンウン氏:韓国人にとってラーメンは「外国の食べ物」なので、うちではゆっくり楽しんでもらえるようにしています。あまりにも長居するお客さんには丁寧に事情をお伝えすることもありますが、基本的にはルールは設けていません。
ただ、韓国では日本ブームに乗っかりラーメン店が増えているのですが、店舗によっては回転率を重視し「30分以内に食べる」というルールを設けるところもあるみたいですよ。
◆韓国人の味覚に寄せず本場の味を提供し続ける理由
――私は韓国でさまざまなお店のラーメンを食べてきましたが、566ラーメンの味の再現度はダントツだと思います。
ヨンウン氏:うちでは、ラーメンを韓国人の味覚に寄せず、あえて本場日本の味で提供することにこだわっています。そのため、材料は醤油から麺の小麦まで、すべて日本の二郎に倣っています。
――どうしてそこまで、現地の味にこだわるのですか?
ヨンウン氏:たとえば、日本で日本人の味覚に合ったキムチを食べてから本場韓国のキムチを食べたら、味の違いを感じるはずです。辛すぎる味付けに、戸惑うかもしれませんよね。
韓国人がうちの店でラーメンを食べたら「しょっぱい」「味が濃すぎる」と感じるかもしれません。しかし、その後日本で本場の味を知ったときに「日本でもこんな味なんだ。だとしたら、あそこはちゃんとしたお店だったんだ」と思ってもらえるはずです。
――本場の味を保障するという意味があるのですね!
ヨンウン氏:はい。ただ、韓国では「キムチチゲ」や「コムタンスープ」などに代表されるスープは、食卓に欠かせない存在です。そのため、韓国人は日本の方が思っているよりもスープの味に敏感です。だからこそ、うちの二郎系ラーメンでも最初の一口に強いインパクトを持たせることを意識しています。
そのおかげもあり、お客様から「食事中は量が多く、脂っこくて食べるのが大変だったけど、家に帰るとまた食べたくなってしまう」という嬉しいお声もいただけています。
◆故郷の味が恋しい日本人に二郎の味を届けたい
――お店に来られる日本人にメッセージをお願いします。
ヨンウン氏:韓国で働いていらっしゃる日本人の方で、二郎の味が恋しいと感じる方が結構多いようです。なかなか日本に帰れず、故郷の味が食べたくなったら、韓国に唯一あるうちの二郎系ラーメンを楽しんでもらえたら嬉しいです。
――今後の目標も教えてください。
ヨンウン氏:実は今後、韓国で店舗拡大する予定があるので、今よりもさらにうちの二郎系ラーメンを味わってもらえる機会が増えると思います。
また、現時点での最終目標である日本進出を叶えられるように、日々精進していけたらと思います。
取材・文/松浦聡美
【松浦聡美】
韓国のじめっとしたアングラ情報を嗅ぎ回ることに生きがいを感じるライター。新卒入社した会社を4年で辞め、コロナ禍で唯一国境が開かれていた韓国へ留学し、韓国の魅力に気づく。珍スポットやオタク文化、韓国のリアルを探るのが趣味。X:@bleu_perfume
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