◆自由にソロキャンプを楽しみたいのに

「教えられる方は断りづらいですもん。でも貴重な時間を取られるのもいやだし、適当に合わせて気に入られてしまい、ナンパに発展するのもどうしても避けたい。だから私は多少気まずくなっても、『すみません今日は我流でやってみたいんです』とか、『失敗しながら覚えま〜す!』とハッキリ意思を伝えるようにしています。自由にソロキャンプを楽しみたいので、知らないオジサンへの気遣いは今は必要ないかなって(笑)」

 当たり障りのないように合わせたり、愛想笑いしたりするのは逆効果です。自分の時間を楽しみたいのなら、ハッキリとした意思表示が何よりも有効です。とは言え逃げ場がない場所なので、相手を刺激するような失礼すぎる言葉遣いはやめまておきしょう。

◆自分の時間は自分で守る! トラブル回避テクニック

 このように、なにかとトラブルも多い女性のソロキャンプ事情。井上さんは、自分なりのトラブル回避術をいくつも用意しているそうです。

「まず、基本ですがテントには鍵をつける。キャンプ場によってはトイレや駐車場が離れているので、無防備になりますからね。チャック部分に連結させるように、ワイヤーの鍵がお勧めです。万全ではないですが、ないよりマシです。

 それと、防犯ブザーも必須です。私も万が一のために、100円ショップのものを2つ持ち歩いています。あとは、“一人で来ていることをごまかすグッズ”など。テントの前に男物のスニーカーを置いたり、テントの中でラジオを付けっぱなしにしたり。あとは、テンションが上っても、SNSなどに『〇〇キャンプ場で、ソロキャンプ中♪』とか、不特定多数に情報をばらまかない。これ、意外とうっかり書き込んでしまうことも多いので、要注意です」

◆思いやりだけは欠かさず、キャンプを楽しもう!

「中には『そこまでしてソロキャンプしたくない』と思われる方もいるかもしれませんが、念には念を。なにでストレス発散をするか、日々の疲れから回復できるかは人それぞれですよね。私はソロキャンプで、自分を全力で甘やかす。これが最高の回復法です。だからそんな大切な時間を守るためなら、苦にならないんです」

 ブームになることでトラブルも増えますが、「キャンプの楽しさを共感してもらえる、キャンパー仲間が増えることは純粋に嬉しい」という井上さん。自然の中でみんながエネルギーを補給できるよう、思いやりだけは欠かさないようにしたいですね。

<取材・文/赤山ひかる イラスト/朝倉千夏>

【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。