[画像] バレーボール注目の「SVリーグ」元年 活躍が期待される男子10人を紹介

SVリーグで期待の選手たち 男子編

 バレーボールは、いよいよ10月、プロ化を目指す新リーグ「SVリーグ」が開幕する。パリ五輪が閉幕して代表シーズンも終わった現在は、新シーズンに向け、海外も含めた選手の移籍発表が活発に行なわれている。

 そんな新リーグでの活躍が期待される、男子選手10人をピックアップした。

※写真は昨シーズンのもの


Photo by 縞茉未

■西山大翔(にしやま・ひろと)

所属:大阪ブルテオン(旧パナソニックパンサーズ) アウトサイドヒッター・193cm

2003年3月4日生まれ 神奈川県出身 東海大学付属相模高校→東海大学

 2022年に東海大を中退して入団した21歳。今年の黒鷲旗大会では敢闘賞を受賞したが、決勝はフルセットで敗れているため、勝てばMVPの可能性もあった。昨年は日本代表としてネーションズリーグ(VNL)にも出場し、リリーフサーバーとして起用され、いきなりノータッチエースを決める鮮烈な代表デビューを飾った。

 昨シーズンのリーグでは、同じポジションに代表で活躍する西田有志が移籍してきたため、控えに回ることも多かったが、西田の不調時にコートに立って活躍した。今年の日本代表ではBチームで活動したが、将来的にはA代表で西田や宮浦健人(ジェイテクトSTINGS)らとのポジションを争う可能性を秘めている。

 先輩の清水邦広(北京・東京五輪代表)曰く、「ミスを減らすことと、自信を持つこと」がさらなる飛躍へのカギだという。伸びしろが多く、これからの成長が期待できそうだ。


Photo by 黒羽白

■水町泰杜(みずまち・たいと)

所属:ウルフドッグス名古屋 アウトサイドヒッター・181cm

2001年9月7日生まれ 熊本県出身 鎮西高校→早稲田大学

 早稲田大の主将だった4年時から内定選手として活躍。ビーチバレーとの"二刀流"でも話題で、入団会見には川合俊一会長も出席した。バレー選手としては身長が低いが、ガッツあるプレーが見る者を引きつけ、鎮西高時代から人気が高い。

 大学時代から、ウルフドッグスOBの高松卓矢氏に似ているとも言われ、高松氏本人も「似すぎだよね!(笑)」とSNSで反応したが、本人は「よく言われますが、自分ではわかりません」とすましている。その高松氏がつけていた背番号12を背負い、バルトシュ・クレク、小川智大、永露元稀といった主力が移籍で抜けたチームを牽引する。

 新リーグについては、内定選手としてVリーグを経験したこともふまえ、「大学とは全然比較にならないレベル。高さ、パワー、スピードすべてが上回っていると実感した。新リーグは外国人枠も増えるなかで、この身長でアウトサイドとしてやっていくには、技術の部分をもっと高めないといけない。そこをポジティブに捉えてガンガン練習してチャレンジしていきたい」と意気込みを語った。


Photo by 縞茉未

■渡邉晃瑠(わたなべ・こーる)

所属:日本製鉄堺ブレイザーズ ミドルブロッカー・193cm

2000年4月6日生まれ アメリカ・ハワイ出身 イオラニスクール→ハワイ大学

 昨シーズンに最優秀新人賞を受賞した、ハワイ出身のプレーヤー。兄が、パリ五輪にも出場した男子バスケットボールの渡邉飛勇選手ということでも話題だ。ミドルブロッカーとしては小型だが、ジャンプ力と腕の長さでカバーする。

 2024年の日本代表にも登録され、B代表として活躍した。ミドルブロッカーには珍しく、強烈なスパイクサーブが武器。日本のミドルブロッカーでスパイクサーブを打つ選手はほとんどいないが、世界では得意とする選手も多い。ビッグサーブが打てるミドルブロッカーとして、今後の成長を期待したい。

 昨シーズンを振り返って、「ハワイからの移住で、日本の生活に慣れなければならなかった。あと、日本のVリーグはハワイの大学リーグとは速さなどレベルがまったく違って大変だった」と語りつつ、「慣れるまでまだ時間はかかるが、自分のプレーはかなりいいところまでいったとは思う」とし、成長に手応えも感じているようだ。


Photo by 坂本清

■大宅真樹(おおや・まさき)

所属:サントリーサンバーズ大阪 セッター・178cm

1995年4月23日生まれ 長崎県出身 大村工業高校→東亜大学

 昨シーズンのサントリー優勝の立役者。2度目のMVPと4年連続4度目のベスト6を獲得。世界クラブ男子選手権では、日本勢初の銅メダル獲得に貢献した。ハンドリングのよさは、元サントリー監督の荻野正二さんも「やっとセッターらしいセッターが来てくれた」と手放しで褒めるなど折り紙つき。

 また、今年の日本代表ではBチームで主将を務めてチームを牽引。VNLでは関田誠大の欠場に伴って緊急招集され、ポーランド戦に出場。鮮やかなトスワークを見せた。トスワークだけでなく、サーブレシーブやつなぎのよさも長所。パリ五輪出場はならなかったが、今後に期待がかかる。


Photo by 縞茉未

■郄橋健太郎(たかはし・けんたろう)

所属:ジェイテクトSTINGS(2023−24シーズンは東レアローズ静岡でプレー) ミドルブロッカー・202cm

1995年2月8日生まれ 山形県出身 米沢中央高校→筑波大学

 2023−24シーズンはブロック賞とベスト6を獲得。大学卒業以来、長く所属した東レの退団発表でもファンを驚かせた。シーズン最後の記者会見では「東レは(高校からバレーを始めたため)素人だった僕を育ててくれたチーム」と感謝の気持ちを述べている。

 移籍先は日本代表セッター・関田誠大がいるジェイテクトとなり、SVリーグでも代表で見せたコンビが再現されるのか興味深い。ポテンシャルは日本のミドルブロッカーのなかでも随一。一方でケガも多いため、コンディション維持が活躍のカギを握るだろう。


Photo by 縞茉未

■小野寺太志(おのでら・たいし)

所属:サントリーサンバーズ大阪 ミドルブロッカー・202cm

1996年2月27日生まれ 宮城県出身 東北高校→東海大学

 東海大卒業後の2018−19シーズンにJTサンダーズ広島の準優勝に貢献し、その後も長く活躍したが、チームの低迷に苦しんだ。昨シーズンにサントリーに移籍し、「15歳からの付き合い」というセッター・大宅真樹とのコンビで、自身初のリーグ優勝を経験。2度目のスパイク賞、4度目のベスト6にも選出され、シニア代表にも選出された。

 代表では安定したバランス型として日本の"ミドルブロッカー3人衆"のひとりとしてVNLでの銀メダル獲得に貢献した。サーブの改善に努めており、VNLのファイナルラウンドで開花。パリ五輪の初戦でもサービスエース3本を決めるなど目覚ましい成長を遂げた。SVリーグでは、代表のチームメイトである郄橋藍も加入し、どんなチームになるのかが楽しみだ。


Photo by 縞茉未

■新井雄大(あらい・ゆうだい)

所属:JTサンダーズ広島(9月中旬から「広島サンダーズ」に変更) アウトサイドヒッター・188cm

1998年6月27日生まれ 新潟県出身 上越総合技術高校→東海大学

 身長188cmはアウトサイドヒッターとしては決して高くはないが、ジャンプ力とパワー、サーブが持ち味。日本代表Bチームにも登録され、ドイツとの親善試合や、コリアカップなどで活躍した。昨シーズンはJT広島の4強入りに貢献したが、2年間在籍したアメリカ代表のアーロン・ラッセルや中国代表の江川(ジャン・チュアン)が退団。"生え抜き"としてチームを戦う大黒柱となる。


Photo by 黒羽白

■工藤有史(くどう・ゆうじ)

所属:VC長野トライデンツ アウトサイドヒッター・190cm

2001年9月24日生まれ 大阪府出身 清風高校→明治大学

 明治大3年時の2022−23シーズンから、長野の強化指定選手として試合に出場。日本代表の大塚達宣とはパンサーズジュニア時代からの付き合いがある。パンサーズジュニアの頃から工藤をよく知るVC長野の川村慎二監督は、「まだまだ荒さはあるが、今後は攻守ともに期待できる。勝ちへのこだわりが見える工藤がコートに入ることにより、チームの雰囲気も変わります。今後、チームの軸として引っ張って行く存在になる」と評価する。


Photo by 縞茉未

■小川智大(おがわ・ともひろ)

所属:ジェイテクトSTINGS(2023−24シーズンはウルフドッグス名古屋でプレー) リベロ・175cm

1996年7月4日生まれ 神奈川県出身 川崎市立橘高校→明治大学

 昨シーズンは安定のサーブレシーブで、2年ぶり3度目のサーブレシーブ賞と、初受賞となるレシーブ賞を受賞した。今年の日本代表では、山本智大(大阪ブルテオン)との"リベロ争い"も注目されたが、惜しくもパリ五輪は落選。それでもパリに帯同し、代表の練習に貢献した。SVリーグ元年にジェイテクトに移籍となるが、ここでアピールし、来年度以降の代表正リベロの座を掴みたい。


Photo by 縞茉未

■柳田将洋(やなぎだ・まさひろ)

所属:東京グレートベアーズ アウトサイドヒッター・186cm

1992年7月6日生まれ 東京都出身 東洋高校→慶應義塾大学

 昨シーズンに加入し、地元・東京のチームで活躍。総得点10位(日本人で1位)、アタック決定本数13位(日本人で2位)、サーブ13位(日本人で6位)という成績からも"健在ぶり"が窺えた。シーズンオフには解説にも初挑戦。落ち着いた声で的確に状況を説明する解説に「柳田くん」というワードがトレンド入りするほど。人気の高さも相変わらずだ。SVリーグには大きな想いを寄せており、4月17日に行なわれた会見でもパネリストを務めた。

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