その後も、1車線区間が続いていたため、何度も同じ現象が起きていたのですが、興味深く先頭車両を見ていた私は、やはり「トラックの後ろを走るクルマが遅くなっている」という現象を確認をすることができました。

 つまり、トラックは遅いながらも一定速度で走っていた一方、その後ろを走るクルマが一定速度で走らないため、渋滞の発生源になったのだと思います。

 ではなぜ、トラックの後ろを走るクルマが急激に速度が遅くなったのか。これは、私の推測でありますが、「前に遅いトラックがいる」と思って油断していたのだと思います。

「どうせ前が遅い」と思ってボケーっと走っていたら、登り坂に差し掛かったときに「トラックよりも遥かに遅い速度」になってしまったのでしょう。そして、そのクルマの後ろを走る数台の車両が、みなブレーキを踏まなくてはならない事態になったのであります。

 速度が安定しないクルマの後ろをアクセルオフだけで対応するのはストレスがたまりますし、65km/h⇒40km/hといった極端な減速をされるとアクセルオフでは対応できません。

◆“不安定な速度”が渋滞の原因に

 ちなみに、トラックや軽自動車は、アクセルオフをした際に強く減速する車種が多いですが、セルシオといった高級セダンなどは、減速感がかなり弱く、アクセルを離しても、「スーッと」クルマが進んでいく傾向があります。私が乗った経験では、同じメルセデス・ベンツでも、W204型Cクラスの7ATは減速感が強い一方、その1つ新しい型であるW205型Cクラスのディーゼル車の9ATは減速感がかなり弱かったということがあります。例えば、前方にW205型、後方にW204が走っていた場合、W205が多少遅くなってもW204はアクセルオフだけで対応できるでしょう。しかし、それが逆になった場合、W205はアクセルオフだけでは対応できず、ブレーキばかり踏むような運転となってしまうことだと思います。

 道に迷ったクルマが急に遅くなった際など、アクセルオフだけでは対応できないということがありますが、それが高速道路の登り坂といった部分で繰り返されているわけです。

 ですから、「遅くなったり速くなったりする」ということは、渋滞の原因にもなりますし、渋滞が起こらなかったとしても、後方を走るクルマにとって「とても迷惑な運転」だといえます。

『徒歩』の場合、前の人の歩く速度が安定しなくても、足は地についているため調整ができます。小学校のときの遠足を思い出すと、集団で歩くと疲れますが渋滞にはなりません。しかし、クルマには車輪がついており、その減速度合いは車種によって異なるわけです。

 だからこそ、クルマに乗る場合は「一定速度で走る」ということがとても重要。

 そういったことが多くの人に共有されれば、お盆のように多くのクルマが行き来するキャパ―オーバー状態になったとしても、もっと運転しやすい世の中になると思うのです。

―[腕時計投資家・斉藤由貴生]―

【斉藤由貴生】
1986年生まれ。日本初の腕時計投資家として、「腕時計投資新聞」で執筆。母方の祖父はチャコット創業者、父は医者という裕福な家庭に生まれるが幼少期に両親が離婚。中学1年生の頃より、企業のホームページ作成業務を個人で請負い収入を得る。それを元手に高級腕時計を購入。その頃、買った値段より高く売る腕時計投資を考案し、時計の売買で資金を増やしていく。高校卒業後は就職、5年間の社会人経験を経てから筑波大学情報学群情報メディア創成学類に入学。お金を使わず贅沢する「ドケチ快適」のプロ。腕時計は買った値段より高く売却、ロールスロイスは実質10万円で購入。著書に『腕時計投資のすすめ』(イカロス出版)と『もう新品は買うな!』がある