対話型サービスとライブTVは、乗客がリアルタイムでコンテンツにアクセスし、双方向のコミュニケーションを楽しむことを可能にする。さらに、目的地サービスや3D統合地図アプリは、旅行のプランニングや現地情報の取得を支援し、より充実した旅をサポートする。

◆パナソニックアビオニクスの最新技術

 パナソニックアビオニクスを傘下に持つパナソニック コネクト株式会社マーケティング部のレイノルズ ジュダさんに聞いた。同社は、生活インフラの中に航空部門としてパナソニックアビオニクスを置いている。

「最新型システム『アストローバ』は、ユナイテッド航空やエアカナダ等の航空会社が導入を決定している世界で最初の有機LED画面を備えたシステムになります。また、今年5月にコンセプトモデルとして『マヤ』※を発表しました。これは、45インチの曲線画面を特徴とするデザインで、乗客に没入型の視覚体験を提供します。この新しいデザインは、機内エンターテインメントの未来を予感させるものとして注目を浴びました」とのことだ。

※マヤとはMost Advanced Yet Achievable(最先端でありながら実現可能)との意味

◆プログラムは無限の可能性

 機内Wi-Fiの技術も進化しており、衛星受信を基本とし、これに地上基地の電波も利用して飛行中でも高速で安定したインターネット接続を利用できるようになる。一例では、イーロンマスク氏が代表を務めるスペースXのグループ会社でスターリンク社が航空機用の高速Wi-Fiを提供している。今後、急速に装備するエアラインが増える可能性がある。

 エンターテインメントを提供するハードの進化は目覚ましい。提供されるコンテンツはどうなるだろう。この先は、ネットフリックスやディズニープラスなど地上で視聴するストリーミングサービスと同等の内容が空の上で提供される可能性がある。

 バーチャルリアリティ(VR)と拡張現実(AR)で目的地の観光をいち早く体験できれば、行きたい場所が増えることも考えられる。また、規制さえクリアすれば機内でオンラインカジノなどもできるかも知れない。

 出張で利用する人々にとって機内でリモート会議ができる環境になるのは痛しかゆしといったところだが、技術はそれを可能にしつつある。乗客にとって、国際線の長距離フライトは苦痛ではなく、快適で楽しみなものになることが予想されている。

<TEXT/北島幸司>

【北島幸司】
航空会社勤務歴を活かし、雑誌やWEBメディアで航空や旅に関する連載コラムを執筆する航空ジャーナリスト。YouTube チャンネル「そらオヤジ組」のほか、ブログ「Avian Wing」も更新中。大阪府出身で航空ジャーナリスト協会に所属する。Facebook avian.wing instagram@kitajimaavianwing