[画像] パリオリンピックと全英女子での有村智恵の注目選手は? 「持ってる」渋野日向子にも期待

【連載】有村智恵のCHIE TALK(第1回・後編)

 JLPGAツアー通算14勝をあげ、米国ツアーに挑戦した経験もあるプロゴルファーの有村智恵の連載がスタート。2022年オフに、妊活に専念するためツアーの一時休養を発表し、現在は双子の男児の母として奮闘しながら、30歳以上の女性プロゴルファーのためのツアー外競技「LADY GO CUP」を主宰するなど精力的な活動も続けている。
 後編では、有村プロに開催が間近に迫ったパリ五輪の女子ゴルフと全英女子オープンでの注目選手について話を聞いた。

>>前編「竹田麗央の強さと黄金世代の復活」を読む


今季メジャーで好成績を残している渋野日向子 photo by Getty Images

【今の女子選手はボールが止まるコンディションであれば必ずスコアを出せる】

――海外メジャーといえば、全英女子オープン(8月22日開幕)に竹田選手も出場されますね。全英の注目選手はやはり竹田選手ですか?

 もちろん竹田麗央選手も何かやってくれそうだなって思います。あと、個人的には渋野日向子選手は、すごくメジャーと相性がいいですよね。ここ数試合ですごく状態も上がってきていますし、全英女子オープンといったら渋野選手っていうところもあるので。

――渋野日向子選手は有村さんの事務所の後輩でもありまよね。有村さんにとってどんな後輩ですか?

 心からすごくいい子だなって思っています。あんなに注目されて、あんなに人気があるのに、本当に変わらないというか。おごるところもないし、いい意味でずっと普通を貫けていて。彼女なりのストレスはたくさんあると思うんですけど、その中でも、ずっと普段どおりでいられる強さっていうのが魅力だなと思います。

 あとは、やっぱり何か"持ってる"選手だな、という印象ですね。今だから言えるんですけど、彼女のインタビューを全米女子オープン最終日の次の日に撮ることが決まっていて、(もし不調のままなら)『何を聞いたらいいんだろう?』みたいな葛藤があって。やっぱり彼女を傷つけたくないし、嫌な思いもさせたくないし。ゴルフの話をどう聞いたらいいんだろうって思っていたら、全米女子オープンであんなにいい成績(単独2位)を残してもらって、「これでいろいろ聞ける!」と(笑)。

 何か"持ってる"人ってすごく限られていると思うんですよ。渋野選手にはそういう魅力がたくさんあるし、私もただ同じ事務所だからっていうだけじゃなく、彼女の魅力的な部分に惹かれているからこそ思い入れもあるので、今年の全英でも頑張ってほしいですね。

――今年の全英女子オープンといえば、セント・アンドリュース オールドコース(スコットランド)で開催されます。有村さんもセント・アンドリュースでの全英を経験されていますが、攻略法やアドバイスはありますか?

 セント・アンドリュースは、他の全英よりもっともっとリンクスなんですよ(笑)。ティーグラウンドの目の前にブッシュが広がっていて、フェアウェイがまったく見えず、ティーショットの目標になる目印もないので「どこに打つの?」みたいなホールが結構あるんです。隣のホールも隣接しているので、ホールのイメージも作りにくい。だから、練習ラウンドの時に"必ずここにこういうボールを打つ"っていうイメージを作っておかないと、ティーショットを打つ時に迷いが生じてしまいます。

 私が出た時(2013年大会)は、初日のスタート前に雨が降って、初日がすごくスコアが出やすい、まったく全英らしくない、ベタベタとボールが止まって転がらないコンディションで、次の日はものすごい強風で(地面も乾いて)逆にコロコロ転がるっていう状況でした。そういうことが起きるのが、全英でありセント・アンドリュースなので、どちらのコンディションにも対応できる必要があります。でも、今の日本の選手たちはボールが止まるコンディションであれば必ずスコアを出せる選手たちなので、あとは転がっていきやすい時の技術の引き出しがあれば、十分に戦えます。

【いよいよパリ五輪・女子ゴルフも開幕】

――そして、いよいよ明日(8月7日)からパリ五輪の女子ゴルフが開幕ですね。出場予定の笹生優花選手と山下美夢有選手の印象を教えてください。

 笹生優花選手は、天真爛漫で素直。人なつっこいイメージです。彼女は日本の試合に出ていた時から、「なんだこの球は⁉」って思うぐらいの球を打っていましたし、全米女子オープンで2回勝っているという実績もあります。どんなコースでも優勝を争える実力があると思います。

 少し前までの山下美夢有選手は、日本のコースにはすごく強い、一方で海外のメジャーでは苦戦していたイメージがありました。ですが、(五輪出場権をかけた)勝負どころの全米女子プロゴルフ選手権であの成績(単独2位)を残して代表の座を勝ち取っているので、海外での戦い方を自分の中で相当調整したんでしょうね。

 (アムンディ・エビアン選手権で)フランスの土地を踏んでいますし、吸収して自分の身につける力はかなり高いと思うので、すごく楽しみですね。

 オリンピックは何度も出られる大会ではありません。選手にとっても一生涯の思い出に残る大会です。ぜひメダルを取ってもらいたいですね。

「有村の知恵のCHIE TALK」 次回は8月13日(火)に更新予定

【Profile】有村智恵(ありむら・ちえ)
1987年11月22日生まれ。プロゴルファー。熊本県出身。
10歳からゴルフを始め、九州学院2年時に日本ジュニア12〜14歳の部優勝。3年時に全国中学校選手権を制した。宮城・東北高で東北女子アマ選手権や東北ジュニア選手権、全国高校選手権団体戦などで優勝。2006年のプロテストでトップ合格。2007年は賞金ランク13位で初シードを獲得した。2008年6月のプロミスレディスでツアー初優勝。2013年からは米女子ツアーに主戦場を移す。
16年4月の熊本地震を機に日本ツアーへ復帰。2018年7月のサマンサタバサレディースで6年ぶりの優勝を果たすなど、JLPGAツアー通算14勝をあげる。
2022年に30歳以上の女子プロのためのツアー外競技「LADY GO CUP」も発足させた。
2022年11月に、妊活に専念するためツアー出場の一時休養を表明。2024年4月に双子の男の子を出産した。

YouTubeでインタビュー動画を公開中!!

https://youtu.be/4SQ3RoGwec0?si=pHZSN64SZS5jDWzM