何だかボソボソ喋っていて、うまく聞き取れない。テレビの音量を思わず上げてしまう……。
毎週月曜日よる9時から放送されている『海のはじまり』(フジテレビ)の目黒蓮の声量があまりに小さいのだ、でもそれが余白となって、目黒蓮らしい想像力が働く。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の作品世界でボソボソ言葉を反復する目黒蓮を解説する。
◆「夏だ!海だ!」のイメージ
『海のはじまり』というドラマタイトルで、月9作品と聞くと、これは瞬時に「夏だ!海だ!」的な世界かと想像するが、全然違う。びっくりするくらいに……。
しかも主演は目黒蓮。筆者がイメージする目黒蓮とは、ひとえに夏の人である。2023年6月放映のキリン午後の紅茶CM「夏の午後が長いわけ」篇では、山下達郎が書き下ろした「Sync Of Summer」が、夏色と同期する画面上、目黒が何とも涼やかにストローからアイスティーをすすっていた。
https://youtu.be/NWMj0HUmS_s?si=adbIFPLNzwqf2UHz
「RIDE ON TIME」や「高気圧ガール」など、「夏だ!海だ!達郎だ!」の勢いに任せて、目黒は夏の解放感を自由なスタイルで体現しているように見えた。でも目黒が所属するグループ名がSnow Manで、SummerとSnowの対照的な掛け合わせが、実は目黒蓮という人の基調になのかもしれない。
◆“アンチ夏”を徹底
夏の人であり、冬の人でもある目黒は、『海のはじまり』では、アンチ夏を徹底している。笑ったときに鼻の左上端にシワが出来る目黒蓮スマイルのさわやかさは健在だが、目黒が演じる月岡夏は、基本的に、晴々とした夏空の下、心の中はほとんど曇天状態なのだ。
大学時代の交際相手・南雲水季(古川琴音)が亡くなり、残された幼子・南雲海(泉谷星奈)が実は自分の娘であることを知る。7年前、人工妊娠中絶同意書に涙ながらサインをしたはずだった。
なのに、6歳になった海が、突然目の前に現れた。海は自分の名前が、夏であり、父親であることを理解している。夏と海。「夏く〜ん」と言って、大きな目を輝かせる海を見て、夏はこの夏、「海の(人生の)はじまり」を悟る。
◆うまく聞き取れないほどの声量
海は、日差しをきらきら反射させる夏の海みたいに元気な子だ。対する夏は、海を認知し、父親として振る舞うべきなのか迷いながら、どちらかと言えば、どんよりとした雰囲気。
第一、夏は根暗な性格ではないが、とにかく声量が小さい。目黒特有の低音ボイスの心地よさはあるものの、か細いというか、蚊の鳴くような声というのか。
海にしろ、夏と現在交際する百瀬弥生(有村架純)にしろ、終始はつらつとしている。水季の母親で海の祖母・南雲朱音(大竹しのぶ)だってちゃきちゃき発声している。夏ただひとり、テレビ自体の音量をかなり上げないと視聴者にはうまく聞き取れないほどの声量なのだ。
◆目黒蓮と生方脚本の組み合わせ
ただ、この声量の小ささは、海を娘として認知するかしないか以前からの問題。第1話冒頭、夏と弥生が夏のアパートに帰ってきたときの場面。「あぁ」とか「う〜ん」など、夏は判然としないボソボソとした反応で終始受け答えする。
弥生が、「うんとさぁううんの間みたいな返事やめれる?」と言っても、夏は、「う〜ん」と再びボソボソ。でもこれは、ボソボソ台詞の反復を得意とする脚本家・生方美久が書いた作品世界なのである。
生方の前作『いちばんすきな花』(フジテレビ、2023年)にしろ、目黒蓮が主演した前々作『silent』(フジテレビ、2022年)にしろ、主人公がはっきり声を発することは極力抑えられていた。
毎週月曜日よる9時から放送されている『海のはじまり』(フジテレビ)の目黒蓮の声量があまりに小さいのだ、でもそれが余白となって、目黒蓮らしい想像力が働く。
イケメン研究をライフワークとする“イケメン・サーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、本作の作品世界でボソボソ言葉を反復する目黒蓮を解説する。
◆「夏だ!海だ!」のイメージ
『海のはじまり』というドラマタイトルで、月9作品と聞くと、これは瞬時に「夏だ!海だ!」的な世界かと想像するが、全然違う。びっくりするくらいに……。
しかも主演は目黒蓮。筆者がイメージする目黒蓮とは、ひとえに夏の人である。2023年6月放映のキリン午後の紅茶CM「夏の午後が長いわけ」篇では、山下達郎が書き下ろした「Sync Of Summer」が、夏色と同期する画面上、目黒が何とも涼やかにストローからアイスティーをすすっていた。
https://youtu.be/NWMj0HUmS_s?si=adbIFPLNzwqf2UHz
「RIDE ON TIME」や「高気圧ガール」など、「夏だ!海だ!達郎だ!」の勢いに任せて、目黒は夏の解放感を自由なスタイルで体現しているように見えた。でも目黒が所属するグループ名がSnow Manで、SummerとSnowの対照的な掛け合わせが、実は目黒蓮という人の基調になのかもしれない。
◆“アンチ夏”を徹底
夏の人であり、冬の人でもある目黒は、『海のはじまり』では、アンチ夏を徹底している。笑ったときに鼻の左上端にシワが出来る目黒蓮スマイルのさわやかさは健在だが、目黒が演じる月岡夏は、基本的に、晴々とした夏空の下、心の中はほとんど曇天状態なのだ。
大学時代の交際相手・南雲水季(古川琴音)が亡くなり、残された幼子・南雲海(泉谷星奈)が実は自分の娘であることを知る。7年前、人工妊娠中絶同意書に涙ながらサインをしたはずだった。
なのに、6歳になった海が、突然目の前に現れた。海は自分の名前が、夏であり、父親であることを理解している。夏と海。「夏く〜ん」と言って、大きな目を輝かせる海を見て、夏はこの夏、「海の(人生の)はじまり」を悟る。
◆うまく聞き取れないほどの声量
海は、日差しをきらきら反射させる夏の海みたいに元気な子だ。対する夏は、海を認知し、父親として振る舞うべきなのか迷いながら、どちらかと言えば、どんよりとした雰囲気。
第一、夏は根暗な性格ではないが、とにかく声量が小さい。目黒特有の低音ボイスの心地よさはあるものの、か細いというか、蚊の鳴くような声というのか。
海にしろ、夏と現在交際する百瀬弥生(有村架純)にしろ、終始はつらつとしている。水季の母親で海の祖母・南雲朱音(大竹しのぶ)だってちゃきちゃき発声している。夏ただひとり、テレビ自体の音量をかなり上げないと視聴者にはうまく聞き取れないほどの声量なのだ。
◆目黒蓮と生方脚本の組み合わせ
ただ、この声量の小ささは、海を娘として認知するかしないか以前からの問題。第1話冒頭、夏と弥生が夏のアパートに帰ってきたときの場面。「あぁ」とか「う〜ん」など、夏は判然としないボソボソとした反応で終始受け答えする。
弥生が、「うんとさぁううんの間みたいな返事やめれる?」と言っても、夏は、「う〜ん」と再びボソボソ。でもこれは、ボソボソ台詞の反復を得意とする脚本家・生方美久が書いた作品世界なのである。
生方の前作『いちばんすきな花』(フジテレビ、2023年)にしろ、目黒蓮が主演した前々作『silent』(フジテレビ、2022年)にしろ、主人公がはっきり声を発することは極力抑えられていた。
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