[画像] 「離職率が低い大企業ランキング」トップ100社


離職率が低い大企業は働きやすい職場であることが多い(写真:mits / PIXTA)

企業の評価基準が大きく変わっている。これまでは財務情報中心だったがサステイナビリティーなど非財務情報で評価されることも多くなり、過去の常識が通用しなくなってきている。

そこで、東洋経済「CSRデータ」や公開データなどから企業の新たな見方として参考になるサステイナビリティー関連のランキングを紹介する。今回は「離職率が低い大企業ランキング」上位100社だ。

離職率が最も低い会社はアズビル

大学生の就職活動が本格化している。企業の見方は人によってさまざまだが、一般的に離職者が少ない職場を「働きやすい会社」と評価することが多い。

そこで、大手企業の離職状況を見るために、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版のデータを使い、3月7日に2022年度の「離職する人が少ない大企業100社ランキング」をご紹介した。


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ただ、このランキングは、企業ごとの従業員数は考慮しておらず、実際に企業の離職率が高いかどうかはわかりにくかった。そこで2021年度の単独従業員が1000人以上の会社を対象に、離職者数(2022年度)を単独従業員数(2021年度)で割った離職率を計算(小数第1位未満四捨五入)。この数値でランキングを作成した。

ただし、ランキングは前年の従業員数と離職者数が異なる基準の場合もあるため注意が必要だ。あくまで参考の数値としてご覧いただきたい。なお一部、単独従業員と明らかに基準が異なることが明らかな企業は今回の対象から除外した。

では、ランキングを見ていこう。1位は制御・自動化機器大手のアズビル。50代以上の理系出身者だと1998年までの旧社名「山武ハネウエル」のほうが馴染みがあるかもしれない。2022年度の離職者は23人で2021年度の単独従業員5329人に対する離職率は0.4%だった。

同社は2030年に「azbilグループで働くことに満足している社員の比率65%以上とする」ことを独自のSDGs目標に掲げる。目標達成に向けた「ダイバーシティ」推進の取り組みを行い、従業員満足度向上を推進している。

2位は大阪ガスで0.5%。2021年度の従業員数3189人に対して2022年度の離職者は15人。従業員エンゲージメント、従業員能力開発をサステイナビリティー活動のマテリアリティに設定。通信教育やセミナー受講といったキャリアアップ支援制度など充実した制度が整っている。有給休暇取得率も90.0%とトップクラスだ。

3位は三井不動産で離職率0.6%(離職者11人)。教育研修に力を入れ、1人当たり年間教育研修費用は13.1万円と高水準だ。定年も65歳で役職定年もない。イノベーション創出や社会貢献に資する副業を認めるなど従業員の能力向上に力を入れる。社内・社外に相談窓口を設置するなどハラスメント防止にも積極的だ。

4位は信越ポリマーで0.8%。離職者は8人。2020年の新卒入社者19人は3年後も全員在籍し、新卒3年後定着率も100%と高いレベルにある。フレックスタイム制度、短時間勤務制度、サテライトオフィスなど勤務柔軟化の諸制度が充実している。

5位にはゴールドウイン島津製作所メディパルホールディングスクボタの4社が1.1%で並んだ。

離職率の全体平均値は4.1%

さて、実際の離職状況は会社によってさまざまだ。中には「卒業」といった形で前向きに退職していくケースも増え、離職率が高くても「働きやすい会社」だと主張するケースもある。ただ、これは一歩間違うとブラック職場で、実態は外部からわかりにくいことも少なくない。

そこで目安にしてほしいのが離職率の全体平均値である4.1%だ。これを超える企業を志望する場合は離職者がどういう状況で発生しているのかを調べていくとよいだろう。最後は『CSR企業総覧』なども参考にしていただきたい。

1〜41位


55〜83位


(岸本 吉浩 : 東洋経済 記者)