東京都知事選では、一般会計だけで年間8兆円超の予算を執行する巨大組織のトップが決まる。財源が豊富で国家並みの予算規模を誇り、国に先駆けた事業を展開することも可能だ。また、東京には日本の人口の1割超が住み、企業も集積するだけに、都の取り組みが国の政策に影響を与えるケースも目立つ。

 都の2024年度当初予算は、一般会計で約8.5兆円、特別会計や公営企業会計を含めて単純に足すと約16.6兆円に上る。都が一般の人向けに公表している資料では、24年1月時点の為替レートで、スウェーデン(約19.0兆円)、チェコ(約14.5兆円)などに匹敵すると説明している。

 背景には、企業の本社が集まることによって法人関係税が大きく、土地や建物にかかる固定資産税も豊かといった背景がある。コロナ禍では、飲食店への営業時間短縮要請などに伴う独自の「協力金」を支給。国が同様の制度を創設するきっかけになった。

 税や環境の分野でも全国の先駆けとなってきた。石原慎太郎知事(当時)時代には外形標準課税(銀行税)やディーゼル車の排ガス規制を導入。いずれも社会的な議論を呼んだ。

 ある都議は「閣僚や与党役員より都知事の方がはるかにやれることが多い」と断言。今回の選挙でも、都知事の裁量の大きさを立候補の要因に挙げる新人候補は多い。ある都庁OBは、都選出国会議員と比べ「東京の顔として都民が期待するのは知事なのだろう」と話していた。