[画像] 38年ぶり安値「スーパー円安」に韓国の輸出にも警告灯

1ドル=160円を超える円安が深刻になりながら韓国の輸出業界の緊張感が大きくなっている。対ドルでウォンが下がり日本の輸出品の価格競争力が高まるためだ。

先月28日の外国為替市場で円相場は1ドル=161.20円で取引され円は37年6カ月ぶりの安値を記録した。基本的にドルが強いためウォンも下がっているが、円安傾向はさらに急だ。このため先月28日のソウル外国為替市場で100円は855.60ウォンを記録したが、これは2008年1月10日の855.47ウォンから16年6カ月ぶりの安値水準だ。

◇競合度大きい日本…石油・自動車輸出に脅威

円安深化は韓国の輸出に悪影響を及ぼしてきた。韓国経済研究院は対ドルでウォン相場が1ポイント下がれば韓国の輸出価格は0.41ポイント、輸出量は0.2ポイント落ちると試算した。市場で日本商品の価格が低くなり韓国商品の価格競争力が落ちるとみるためだ。主要国のうち韓国と輸出競合度が最も大きい国が日本だ。韓国と日本の輸出産業構造が他の国より似ているためだ。

産業ごとに影響には違いがある。韓国貿易協会が集計した韓日輸出競合度を見ると、2022年に全産業競合度は0.458だったが、石油製品の場合0.827に達した。5年前と比較して全産業での輸出競合度は0.463から0.458と小幅に下落したが、石油製品は2017年の0.814より競合度が上がった。自動車・部品の輸出競合度が0.658と後に続き、船舶が0.653、機械類が0.576の順となった。輸出競合度は1に近いほど輸出市場で競合する品目の割合が大きいという意味だ。

輸入市場の場合、円安を背にした鉄鋼製品が怒涛のように流れ込み韓国の鉄鋼業界を脅かしている。中国は価格を、日本は品質を掲げるのが既存の構図だったが、円安により日本まで価格競争力が高まるからだ。実際に昨年の中国製と鉄鋼材輸入量は873万トンで前年より29.2%増え、日本製鉄鋼材輸入量は561万トンで3.1%増えた。全輸入量で両国が占める割合は92%に達した。

◇無条件で悪影響ではない「10年間で競合緩和」

ただドル高と円安が無条件で輸出に悪影響を及ぼすものではない。製品を作るのに必要な中間財の日本からの輸入単価を低くする効果がある。対ドルでウォンもやはり下落しているだけに対米輸出量が多い企業は為替差益も期待できる。例えば造船業界は船舶を引き渡す時点で売り上げが発生するため、契約締結時点よりドル価格が上がった分だけ為替差益を追加で得ることになる。

輸出競争力が高まっただけに円安の効果も過去ほど大きくない。韓国貿易協会国際貿易通商研究院のカン・ネヨン首席研究員は「円相場変動が韓国の輸出に及ぼす影響」と題する報告書を通じ、「円安による韓国の輸出への否定的影響は避けられない」としながらも「半導体など日本より比較優位にある品目は円変動による輸出量減少の影響は大きくない」と明らかにした。続けて「韓日輸出競合度も2012年以降緩和する傾向」と付け加えた。