[画像] メイシーズ は ブルーミーズ 4号店を今秋オープン。 小型店舗の拡大は百貨店の「切り札」となるか?

今秋に百貨店運営会社のメイシーズ・インク(Macy’s Inc.)は、新たな小型店舗戦略、つまりラグジュアリーアイテムの販売を拡大するという戦略の一環として、その傘下にあるブルーミングデールズ(Bloomingdale’s)の小規模店舗であるブルーミーズ(Bloomie’s)の4号店をニュージャージー州にオープンする予定だ。

ライフスタイルセンターや屋外型ショッピングプラザが、百貨店を中心とした昔ながらのショッピングモールに取って代わるなか、ブルーミーズは伝統的な百貨店のブランド理念を新天地へと持ち込み、既存市場をコンパクト化された体験で補強する試みである。新店舗は、ニュージャージー州シュルーズベリーにあるザ・グローブ(The Grove)という屋外型ショッピングプラザに11月にオープンすることになっている。

ブルーミングデールズの一般的な店舗面積は10万平方フィート(約9300平方メートル)を超えることもあるが、ブルーミーズの店舗面積は2万平方フィートから5万平方フィート(約1860平方メートルから4650平方メートル)だ。ブルーミーズ1号店は2021年にバージニア州フェアファックスにオープンし、このエリアの繁華街にある既存の大型店舗を補完することを目的としていた。2号店はそれよりも大規模な3階建ての店舗に代わることを狙って、2022年11月にイリノイ州スコーキーにオープンした。そして3号店は昨秋にシアトルにオープンし、ブルーミングデールズのシアトル初進出となった。

ブルーミングデールズで顧客および収益成長担当シニアバイスプレジデントを務めるレイチェル・アベレス氏は米モダンリテールに対し、この小型店舗によってブランドはよりアクセスしやすく便利な場所で顧客にリーチできるようになると語った。

「我々はブルーミングデールズが実店舗で行っていることの長所を生かしながらも少し見直し、各地の顧客のために厳選されたファッションを最優先に提供するという、より現代的でモダンなやり方をとる」。

小型店舗の拡大による「密集化」戦略



ブルーミーズが店舗を拡大するというニュースは、親会社メイシーズ・インクの再建計画が動き出すなかで発表された。最新の収益報告によると、2023年の時点でブルーミングデールズは約400万人のアクティブ顧客を抱えていたが、その既存店舗売上高は前年比1.5%減だった。CEOのトニー・スプリング氏は直近の決算説明会で、メイシーズの3大優先事項のひとつがラグジュアリーアイテムの成長を加速させることだとして、そこにはブルーミングデールズと、同社傘下の高級化粧品専門店であるブルーマーキュリー(Bluemercury)を20%成長させることも含まれると述べた。同氏によると、同社は今後3年間で新規および既存市場において、15店舗のブルーミーズとアウトレット店をオープンさせることをめざしているという。

ニュージャージー店はブルーミングデールズが小型店舗を増やしていく上で、同社がいわゆる「密集化」と呼ぶ戦略にどのように注力しているかを示す一例となっている。つまり対面またはデジタルで買い物をする忠実な既存顧客がいることはわかっているが、より便利で近い場所に出店することでさらに多くの地域を開拓し、より多くの顧客を獲得できる可能性があることを意味している。

「シュルーズベリー店では、顧客に近づくことができるまたとない機会を得られた」とアベレス氏は語った。「最寄りのブルーミングデールズの実店舗に行くためにかなりの距離を移動しなければならない多くの既存顧客がいる。だからこそ、当社が抱えている何千人もの既存顧客との距離を縮めることを目標としている。全体的な体験は、我々がこれらの顧客について知っていることをもとにして厳選されている」。

オフプライス小売店の台頭による百貨店の課題



コンサルティング会社のジェーン・ハリ&アソシエイツ(Jane Hali & Associates)でシニアリサーチアナリストを務めるジェシカ・ラミレズ氏によると、百貨店は近年買い物客と彼らが何を望んでいるかを理解するのに苦労しているという。同時に、オフプライス小売店が多くの百貨店の市場シェアを侵食しつつあるという。

小型店舗戦略はますます人気の戦略になってきているが、成功するかどうかは、最終的にはマーチャンダイジングと販売の実践方法にかかっている。

「ブランドや小売業者が店舗を閉鎖したあとも、小型店舗をオープンするという傾向が見られる」とラミレズ氏は話す。「そして、その方がより利益率の高い厳選された商品を並べることができるので、業績が向上する傾向もある」。

課題解決のカギは柔軟な店舗レイアウト



ブルーミーズのプロトタイプを開発するために、ブルーミングデールズは建築事務所であるネルソンワールドワイド(Nelson Worldwide)に協力を依頼した。ネルソンワールドワイドのバイスプレジデント兼シニアスタジオリーダーを務めるランディ・ン氏は、最大の課題は顧客のニーズを満たしながらも、記憶に残るように競合店と差別化を十分に図ることだと語った。それはつまり、柔軟性があり、トレンドやマーチャンダイジングのニーズに基づいて迅速にアップデートできる店舗レイアウトだ。ブルーミーズでは、ある店舗ではその地域の人口統計に基づいてメンズアパレルの品揃えを増やし、別店舗ではジュエリーカテゴリーを強化することもある。

「いつでも何でも新しい売り場に持っていくことができるし、縮小も拡大もできる。また、新しいカテゴリーを導入することもできる」。

ブルーミングデールズのアベレス氏によると、同社はブルーミーズの店舗をオープンさせるにあたって、その地域の人口統計と買い物で何が重視されているかを理解するために市場調査に時間をかけたという。オープン予定のニュージャージー店などのように、既存顧客がいる地域でブランドの店舗数を拡大させるための店舗もある。一方、シアトル店などのように、ブランドにとって新しい市場でオープンする店舗もある。

「ブルーミーズのローンチからオープンまでの全行程は、まさにイノベーションと学習の日々で、顧客の声を率直に受け止めていた」。

[原文:Macy’s Inc. to open its fourth Bloomie’s location in New Jersey this fall]

Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:都築成果)
Image via Bloomingdale's