性教育はしているけれど…悩む男児ママたち

男児である息子を育てている筆者としては、昨今の風潮も影響して早期から性教育には注力しています。息子、娘と3人でお風呂に入りながら男女で体が違うことを伝え、園や学校で女の子が嫌がることをしていないかとそれとなく聞くことも。園ではまだまだ着替えやトイレが男女でオープンになっていますが、「女の子の体をじろじろ見てはダメだよ」と日頃から口酸っぱく伝えているつもりです。

筆者は男児ママの知り合いともよくこうした性教育のことを話していますが、総じて「息子を性犯罪者にしたくない」という意見に落ち着きます。

今回の件も話を聞くと、
「女子トイレに連れて行けば他の女性から『男児を連れてくるなよ』という目で見られていそうで怖いし、男子トイレに1人で行かせるのも変質者がいそうで怖い」、
「家庭内で性教育を頑張っても小学校のやんちゃな男の子から下ネタの影響を受けてくる」
という意見が。

また「家庭内の性教育は母親以上に父親が大事だと思う。一番身近な大人の男性が一緒に銭湯やトイレに行くことで性差や異性への配慮を意識できる」とも言っていました。

◆安易な“男児ヘイト”は何も解決しない

母子だけの外出の際に、まだまだ小さな男児が婦人科や授乳室、女子トイレや銭湯に入ることは致し方ない部分も大いにあります。そもそも女性専用の場所に連れてこなくてもいいように、預かり保育やシッターサービスの拡充、多目的トイレの増設や男子トイレの治安向上、父親のさらなる育児参加が進んだりすれば、“男児を連れてこないで”という人たちの希望が叶うのではないでしょうか。

にもかかわらず、ただ婦人科や授乳室、女子トイレや銭湯にいる男児だけを見て“男児ヘイト”をまき散らすのは、子育てしにくい社会をどんどん作りだしているように思えてなりません。

男性のみならず男児にまで憎悪の気持ちをむき出してしまうことは、同性である男児ママをも苦しめてしまうでしょう。男児をめぐって女性同士でいがみ合い、苦しめ合うのではなく、建設的な子育て環境に向けた議論が進んでいってほしいものです。

<文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中