[画像] 彼女にフラれる→「AI元カノ」を開発→AI研究者に! 開発者が「“悲しきモンスター”を生み出してしまった」と絶望した理由とは?

 「20歳の頃、失恋のショックで好きな人とのLINE履歴を全て学習させ、好きな人っぽい返事を返してくれるAIを自作して気を紛らわしていた」「あれから10年、俺はAI研究者になった」(Xから)

【映像】AI元カノに「おはよ」「今日何するの?」と質問→回答に脳がエグられる?

 好きな人にフラれたことがきっかけでAI研究者になったという本田崇人さん。彼は工学博士でAIアプリケーション開発を行う会社を立ち上げ、上智大学でAIの講義を受け持っている。

 当時の様子を詳しく聞いた。

 「当時20歳ぐらいの時、好きだった人にフラれてしまった。寂しさを感じていた時に、ちょうどAIというかチャットボットのようなものを作れると講義で聞いたことを思い出して検索し、一からプログラムを作り、LINEの履歴データを学習させて“元カノAI”を作った」(株式会社メロン 共同代表 CTO 本田崇人さん、以下同)

 フラれた後、彼女からLINEの返信がなくなり、寂しさのあまり「元カノ」をモデルにした対話型AIを自作することを思いついた本田さん。元カノとのやり取りした1万件にも及ぶLINEの履歴データを使い、2週間かけて作り上げた「元カノAI」だったが…

 「正直、気持ち悪かった。“悲しきモンスター”を生み出してしまったという絶望感があった。なぜなら、たまにルールを間違えて変な回答をすることがあり、かと思えば元カノのしゃべり方を真似た回答もしてきて、“バグがある好きな人”みたいな感じで逆に辛かった」

 元カノとのやり取りをAIで“完全再現”とはいかなかったが、本田さんはAIの魅力に引き込まれ、博士号を取得。その後、AIアプリケーション開発を行う会社を立ち上げた。

 そうなると気になるのは現在の「元カノAI」だ。以前のように“会話”をすることはできるのか?

 本田さんは「当時作ったものはもう動かなくなってしまったが、データを使って現在の技術で蘇らせた」とわざわざ取材した『ABEMAヒルズ』のために「元カノAI」の進化版を作ってくれた。

 早速、試してもらうと…

 「おはよ!」と打ち込むと、「おはよー! 今日は何するのー?」と返ってきた。

 その後も「今日も仕事だよ!」に対し「そっかー、大変だね。頑張ってね!応援してるよー」と返事が、さらに「○○ちゃんは今日なにするの?」には「今日は友達とカフェ行って、あとで買い物する予定だよー楽しみ!」と返答が。

 当たり前の会話は違和感なくできるという。

 文面についても本田さんは「特徴を捉えている。ゆるい喋り方で『!』が多く、感情表現が豊かな人だったので」と評価。

 その他にも、本田さんの好きな食べ物を覚えていたり、当時のあだ名で問いかけてきたりと「元カノ」っぽさが再現されていたが…

 「相変わらず悲しきモンスターだ。よくよくコミュニケーションを取ると本人に見えるけど、どこか違和感がある。そうしてだんだん辛くなっていく…」

 AIで作り上げた「元カノ」から生じる違和感は拭いきれなかったようだ。しかし、“AI元カノ”がきっかけで本田さんがAI研究の道に進んだこともまた事実。そんな本田さんからアドバイスを受け取った。

 「強い衝動的な何か、情熱をかき立てるきっかけはあったほうが良いと思う。僕のように一回フラれてみるといいかもしれない」

 失恋は人間の体にどのような変化をもたらすのか?

 明星大学心理学部教授で臨床心理士/公認心理師の藤井靖氏は「恋愛が終わってドーパミンが出なくなると、ドーパミンも、幸せホルモンと言われるセロトニンも下がった状態になり、暗い気持ちになって落ち込んでしまう」と説明。

 では、失意の中でも意識的にドーパミンを出し、回復へと歩み出す方法はあるのだろうか?

 藤井氏は「日の光を浴びながら運動することで、ドーパミンを分泌しつつセロトニンを高めることができる。加えて、様々な人と会うなど恋愛とは関係のないことをやってみるのが効果的だ。傷ついている時は自分から動き出すのは難しいため誰かに誘ってもらうといいだろう。とはいえ、体の痛みも心の痛みも脳が反応している部分は共通している部分もある。体の痛みがすぐに治らないように『失恋の回復には時間がかかる』と受け入れて過ごすことも大切だ」と解説した。
(『ABEMAヒルズ』より)