社内不倫をしていたという女性から、弁護士ドットコムに相談が寄せられています。女性と不倫相手、その妻は同じ会社に勤めています。

すでに妻とは和解が成立し、慰謝料も支払いが終わっているそうです。和解には、「お互い不倫について口外しないという条項が含まれていたそうですが、妻は自身のSNSで、女性の写真を載せて服装の批判をしたりしているとのことです。

また、妻は不倫が原因で心の病を患ったといい、傷病休暇中に自身の「サレ妻」体験を漫画にして、ネット上で公開していたといいます。「サレ妻」漫画について、「見る人が見たらわかってしまうのではないか」と女性は不安を覚えているといいます。

あまりに大きすぎる「不倫の代償」。女性は妻に対し法的問題をとることはできるのでしょうか。日向一仁弁護士に聞きました。

●妻は「和解条項違反」にあたる可能性

--和解条項で「妻と女性はお互い、不倫について口外しない」ということを盛り込んでいるそうなのですが、匿名とはいえ、妻がSNSで不倫について投稿したり、女性の写真を無断で投稿することに、法的な問題はないのでしょうか。

妻が、第三者が閲覧可能なSNSに不倫のことを投稿した行為は、「不倫について口外しない」という和解条項に違反する可能性があります。

匿名か否かという点は、「誰が投稿したのか」ということを証明する際には問題になりますが、妻が正当な理由もなく不倫について投稿したとすれば、その事実自体は和解条項に違反することになるでしょう。

和解条項の違反は、法律上は債務不履行となりますので、女性は、妻に対して、債務不履行により被った損害、具体的には慰謝料を請求できる可能性があります。

また、和解条項に違反するかという問題とは別に、不倫相手の女性を特定し不倫の事実を記載する行為は、その内容が事実であっても、女性の社会的評価を低下させる危険がある行為として名誉毀損になる場合があります。この場合も慰謝料等の請求が可能なケースがあるでしょう。

女性の写真を無断でSNSに掲載することは、女性の肖像権プライバシーを侵害するおそれがあります。そのため、慰謝料請求ができる可能性があります。

●不倫した女性を「特定」できるかが重要

--妻は「サレ妻」漫画を描き、ネット上で公開しているとのことですが、こちらも匿名とはいえ、和解条項に触れる可能性はありますか。また、女性は妻を名誉毀損で訴えることは可能でしょうか。

この場合も、匿名か否かを問わず、妻の行為をみれば、漫画という手段を用いて、不倫について口外したと認定される可能性があります。そのため、和解条項に違反するおそれはあるでしょう。

名誉毀損に該当するかどうかという点は、匿名か否かということではなく、相手女性を特定(同定)できるか否かが重要となります。その女性の家族、友人、知人等の相当数の第三者がその漫画をみて、その女性であることが分かる場合には名誉毀損に該当する可能性があります。

名誉毀損が成立するためには、その他にも、漫画の掲載によって描写される事実とその描写により、女性の社会的評価が低下することが必要です。これらも認められれば名誉毀損として慰謝料等を請求できる可能性があります。

【取材協力弁護士】
日向 一仁(ひゅうが・かずひと)弁護士
平成18年弁護士登録。東京弁護士会所属。離婚・相続・訴訟・企業法務・不動産紛争(借地権紛争を含む)等を取り扱う。平成24年5月に東京渋谷法律事務所を開設(所属弁護士4名)。
事務所名:東京渋谷法律事務所
事務所URL:https://tokyo-law.jp/