その茶色の外装の摩耗具合からは、長年にわたって忠実に役目を果たしたことが伝わってくる。内部は、ラバー・ソウル・セッションのカラー写真に写っているのと同じクラッシュ・イエローのベルベットで、外装のバッジが光を受けて輝いている。また、写真に写っている内装のディーラー・タグも完璧にマッチしている。

60年近く行方不明で、もう永久に失われたと思われていた歴史的なこのギター。再び演奏ができるようにするためジュリアンに持ち込まれ、適切な状態に修復された。もう本人が弾くことは叶わないが、今後このギターでまたビートルズの楽曲が奏でられることはあるのだろうか。

2015年にもジョン・レノンのギターがオークションに出品され、落札予想価格は60万〜80万ドルだったのに対し、240万ドル(当時のレートで約3億円)で落札されている。今回のオークションでの落札予想価格は60万〜80万ドル(約9,300万〜約1億3千万円)となっているが、この落札額を大いに上回ることは想像に容易い。

バーンファインドのクラシックカーがオークションに出品され度々話題になっているが、物置や屋根裏の隅で「Help!」と叫びながらいつか日の目を浴びることを待ち望んでいる素晴らしい楽器もまだまだ多く存在するのだろう…。