日本航空(JAL)のパイロットが滞在先の米国で起こした飲酒トラブルをめぐり、全日空(ANA)に思わぬとばっちりだ。

JALはJapan Airlinesの略だということは海外でも広く知られているが、今回のトラブルを「Air Japan」が起こした事案として報じる海外でメディアが続出した。「AirJapan」ブランドを掲げる航空会社は2024年2月に運航を始めたばかり。ただし、この会社はJALグループではなく、ANAグループの会社だ。

見出しがAir JapanでJAL機の写真つく記事も

元々の事案は、羽田発ダラス・フォートワース空港行きの便を運航したJAL機長が滞在先のホテルで酔って騒ぎ、警察に通報された影響で折り返し便が欠航になった、というもの。宴会は深夜2時まで続いたが、乗務予定の便までは丸1日以上間隔があり、JALのアルコールに関する規定に抵触したわけではなかった。ただ、JALとしては「心身の状態を確認する必要がある」として乗務から外すことを決めた。

事案はJALが4月26日に公表し、海外でも報じられた。その中に「Air Japan」と掲げる記事も相次いだ。

ニューヨーク・ポストは、毎日新聞の英語版サイトに掲載された共同通信の記事を引用する形で事案を報じ、見出しには「Air Japan」の表現。「ダラス発東京行きのエアジャパン便、パイロットが飲酒していた徹夜パーティーを警官が解散、欠航に」という内容だ。ただ、記事にはJAL機の写真がついており、写真説明も「Japan Airlines」だった。

英大衆紙「ザ・ミラー」の米国版サイトにも「Air Japan」。見出しに「エアジャパンのパイロット、飲みすぎでダラスを出発できず 乗務員の夕食会がホテルでのパーティーに、警官出動」と掲げ、JAL機の写真をつけた。

インドのテレビ局、NDTVは、このニューヨーク・ポストや、米CBSテレビの記事をもとに記事を掲載。本文はJapan Airlinesだったが、見出しはAir Japan。

「エアジャパン、パイロットがホテルで『泥酔』し『迷惑行為』をしたため欠航」

といった具合で、写真はANAグループの「AirJapan」機のものが使われた。

コメント欄に「エアジャパンはダラスには就航していない」の指摘

間違いを修正する会社もあった。英大衆紙のデーリー・メールは、一時は見出しや本文に「Air Japan」を掲げたが、後に「Japan Airlines」に修正された。コメント欄には「エアジャパンはダラスには就航していない」といった書き込みがあり、編集部が指摘に気付いた可能性もある。

「AirJapan」は、ANAホールディングス(HD)がANA、ピーチに次ぐ「第3のブランド」と位置付けるブランドで、2月に運航を開始。5月時点で成田とバンコク、ソウル、シンガポールの3都市を結んでいる。「AirJapan」の運航は、アジアのリゾート路線や貨物便を運航してきたANA HD100%子会社の「エアージャパン」が担当している。

無線通信での呼び名にあたるコールサインは、JALがJAPAN AIR。この点も、AirJapanがANAグループだと認識されにくい一因になっている可能性もありそうだ。

なお、ANAとAirJapanのコールサインは、それぞれALL NIPPON、AIR JAPANだ。

(J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)