4月24日、東京駅構内「グランスタ東京」に、ロケ弁が多くの芸能人に愛されるカレー専門店「オーベルジーヌ」がオープン。オープン初日には、さまざまな人がSNSでアップし、なかには2万いいねを超えるバズポストも。こうした噂を聞きつけて、筆者もさっそく現地に行くことにした。

【画像】13時にお店に着くと、すでに売り切れが多数発生…

開店から3日…大盛況すぎた

私がお店に向かったのは、4月26日(金)13時のお昼すぎ。

なんと現地にはたんまり行列ができていた。しかも、その行列は店舗前だけではおさまらず、列が一度切られ、往来の邪魔にならないように別の場所でまた行列が続くといった状況に。

数を数えたところ、13時6分の段階で、15人待ちだった。

並ぶこと10分ほど。やっと、店の前に来た。2日前にオープンしたばかりで、商品サンプルが並べられているディスプレイは、とてもきれい。だがそのディスプレイを見た瞬間、驚いた。めちゃくちゃ売り切れているのだ。

「あと、40食です!」

店の人が、そう叫ぶ。グランスタのほかの弁当屋ものぞいてみたが、13時の段階で売り切れることなど、ほとんどなかった。

この時点で、「オーベルジーヌ」初出店への期待感がわかる。なんでも、オープン初日は午前のうちに売り切れてしまったそうで、「みんな、オーベルジーヌ食べたかったのね……!」という気分になる。

やっと、私の番になった。

この段階で、すでにミートミックスカレーやビーフカレー、そしてチキンカレーは売り切れ。肉系のカレーは、全部ない。

また、オーベルジーヌでは、付け合わせに応じたセットが2タイプある。Atypeはライスのみ。Btypeになるとポテトと青しその実が付く。

この時点で、Atypeは売り切れていたので、私はBtypeを選び、残っていたチーズカレーと海老カレー、そしてシーフードミックスカレーを購入した。

基本的には、デパ地下の弁当屋と同じ要領で買えるので、仕事帰りや、あるいは新幹線に乗る前に駅弁として、手軽に買うことができる。東京駅構内にはカレー専門店は少ないので、これは人気が出そうだ。

甘味からの辛みの二重構造で

というわけで、さっそく食べてみよう。

開封の儀と相成る。オープン!

まずはチーズカレーから。
スプーンでルーをかき混ぜ、ご飯に持っていこうとすると、

チーズがすごく伸びる。ビヨンビヨンである。中をよく見ると、これ、チーズカレーといっても、ルーの上にチーズが乗っているだけでなく、大きなチーズの塊にカレールーがかかっている、と表現したほうが正しい。こんなにチーズがあるなんて、うれしい。

一口食べる。まず感じるのは、カレーらしからぬ甘みだ。やさしい甘さが口を支配する。

しかし、その後にはスパイシーさがやってくる。そのまま、ご飯をかきこむ。ご飯の甘みと、カレーのスパイシーさが調和して、「ウマイ」としか表現できない。スプーンが止まらなくなる。

その他、エビカレーもシーフードカレーも、それぞれの具材のおいしさと、カレーの甘辛ミックスが絶妙にマッチして、それぞれ美味しい。

付け合わせ、ではすまないのだ

「神は細部に宿る」というが、「オーベルジーヌ」のおいしさを引き立たせているのは、まさに、この「細部」なのだ。

Btypeの付け合わせとして出てくる「ポテト」と「青しその実」である。

ポテトは、付属のバターをつけて食べる。ほくほくとした食感と、スパイシーなカレーを温かく受け止めてくれる素朴な味が、カレーを引き立たせる。カレーの合間のお口直しにはぴったりだ。

さらに、もっと脇役だが、「青しその実」も実によい。いわゆる、お漬物的なポジションだが、ピクルスのようなさっぱりした口触りと、しかし、どこかスパイシーさもある味で、カレーとご飯の合間に食べるのにぴったりだ。

芸能人御用達の理由がわかった

さて、こんな「オーベルジーヌ」は、「ロケ弁」としてのイメージが強い。

実際、テレビで芸能人が、このお弁当について言及する機会が多いのだ。日向坂46のメンバーが好きなロケ弁として紹介したり、また、芸人の小籔千豊が『人志松本のすべらない話』の中で、「もっと楽屋のお弁当としてオーベルジーヌを増やしてほしい」と話したことも話題を呼んだ。

また、脇役であるポテトも、かつて『タモリ倶楽部』の「今夜だけ主役の座に!収録弁当 脇役おかずドラフト会議』という企画で紹介されたぐらいだ。

ロケ弁として人気の理由はいくつかあると思う。

一つ目は、かなりがっつりとしたボリュームのある「欧風カレー」で、ちょっと食べ進めただけで、お腹の満足度がかなり高いこと。これ、ロケの合間など疲れてるときに食べたら最高かもしれない。

二つ目は、冷めてしまっても美味しく食べられることだ。時間が不規則になりやすいロケ現場では、温かいお弁当が食べられるとは限らない。どうやら、「オーベルジーヌ」では、冷めてもカレーが固まらないような工夫を施しているらしい。この、お弁当に特化したカレーへのこだわりこそ、人気の理由の一つだといえる。

「芸能人と同じ味が食べられる」というポイントも大きい

このように芸能人たちからの熱い支持もあってか、「オーベルジーヌ」は近年、積極的に企業とのコラボなどを行ってきた。イトーヨーカドーの名物イベントである「カレーフェス」「カレードリア」を監修・販売したり、日清から「カレーメシ」を監修・発売したりしている。

しかし、実際に芸能人が食べているものと同じものを食べるとなると、電話やUber Eatsで配達を注文するか、四谷三丁目の店でテイクアウトするしかなかった。

だからこそ、地の利のいい東京駅への出店が、大きな反響を呼んでいるのだろう。

実際、SNSを見てみても〈憧れのロケ弁で芸能人になった気分……!〉とか〈あの『オーベルジーヌ』が我が家に!〉といった投稿が多い。

味もさることながら、「芸能人と同じものが気軽に食べられる」ことこそが、「オーベルジーヌ」の東京駅出店の反響の理由といえるだろう。

新幹線で食べられるかどうか

最後に一つ。

東京駅への出店ということは、必然的に駅弁として利用されることも多くなるだろう。つまり、新幹線の車内で食べることも増えるだろうが、気になるのは「におい」問題だ。

SNSでは、定期的に「『551HORAI』の肉まんを新幹線で食べていいのか論争」が巻き起こる。つまり、新幹線という閉ざされた空間の中で、比較的ににおいの強いものを食べることがマナー的にどうなのか、という話である。

まず結論から言うと、確かにカレーの香りはあるものの、そこまで迷惑になるほどではないのではないかというのが、実際に「オーベルジーヌ」のお弁当を食べてみての感想だ。

この点を筆者は、「オーベルジーヌ」に電話をして確認してみたいと思った。しかし、電話をしても電話をしても、「通話中」になってしまう。

そりゃ人気店なので、テイクアウトの注文でてんてこまいだろうし、東京駅出店のインパクトもあって、大忙しだろうよ……と思って、そっと電話を切った。というか、こんなくだらない質問をして、時間を奪ってしまうのもよろしくないことだろう。

ただ同時に、この問題はめっちゃ気になる。実際に、「新幹線車内で食べてみたよ!」「新幹線の隣の席で食べられて大変だったよ!」なんて感想のある人は、ぜひXなどで情報をお寄せいただければ幸いである。

取材・文・写真/谷頭和希