中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
 リサイクル店が大繁盛しています。背景にあるのはインフレによる節約志向の高まり。特に衣料品で好調で、リサイクルショップの売上をけん引しています。

 その裏で苦戦しているのが、かつて市場を席捲していた古本や中古ゲーム。中小の古書店や中古ゲーム専門店は中期的な苦戦が予想されます。

◆ハードオフとトレジャー・ファクトリーは絶好調

 ブックオフグループホールディングスの2023年6月-2024年2月の売上高は、前年同期間比9.3%増の823億円でした。通期は9.0%増の1110億円を予想しています。ハードオフコーポレーションは、2023年4-12月の売上高が前年同期間比10.2%増の220億円。通期売上予想は10.9%増の300億円。2社ともに通期では1割の増収となる見込みです。

 ハードオフは長らく売上高200億円の壁を突破することができませんでした。しかし、2022年3月は15.2%、2023年3月期は10.3%それぞれ増収となり、今期はいっきに300億円台に乗せる見込みです。物価高が深刻化した2022年からの増収ペースには目を見張るものがあります。

 衣料品に強いトレジャー・ファクトリーも好調そのもの。2024年2月期の売上高は前期比22.1%増の344億円でした。2025年2月期は同17.7%増の405億円を見込んでいます。今期も2割近い増収を予想しているのです。

 トレジャー・ファクトリーの売上高もしばらく100億円台で推移していましたが、2022年2月期に200億円台に乗せ、2024年2月期に300億円を突破しました。

◆しかし、「主力商品」は苦戦が続く

 インフレ時代のリサイクルショップは正に庶民の味方。新品の買い控えや節約志向の受け皿になっているのは間違いありません。

 ただし、中古品のすべてが売れ行き好調なわけではありません。ブックオフの主力商品である、古本やソフトメディア(音楽・映像・ゲーム)は苦戦しているのです。

◆時代の変化を読んで素早く行動するブックオフの底力

 ブックオフの書籍の販売額は2022年5月期、2023年5月期は前年割れ。2023年6月-2024年2月の販売額も前年同期間を1.8%下回りました。じりじりと減少を続けています。

 ソフトメディアの販売額は横ばいが続いています。2023年6月-2024年2月はわずか1.0%の増加にすぎません。

 好調なのがアパレルで、2023年5月期は2割増。2023年6月-2024年2月も14.6%増加しています。貴金属・時計・ブランドバッグ、家電も1割増となりました。これ以外に絶好調なのがトレーディングカードやプラモデルなどのホビー。2022年5月期の販売額は前期の1.6倍、2023年5月期が1.4倍、そして。2023年6月-2024年2月はおよそ1.2倍のペースで増加しています。ホビーの売上高は、3年ほどで全体の1割から2割を占めるまでに成長しました。

 ブックオフは立ち読みOK、大量仕入れ・大量販売で、古本店の常識を覆しました。新古書店という新たなビジネスモデルを確立して業界トップに躍り出ます。巨大化した今もブックオフの市場に対する柔軟性は健在。出店形態も大きく変わりました。

 新規出店したブックオフは、どれも本やソフトの他にホビーやトレカ、アニメグッズ、スマートフォンなどが陳列されています。かつてショッピングモールに小型の古本店を出店していましたが、現在は「あそビバ」という新業態を開発。トレカやフィギュア、アニメグッズなどの専門店に切り替えました。

 ブックオフは古本店という殻を完全に破ったのです。

◆セカンドストリート買収という先見の明