その説は…お世話になりました! 妙にリアルな「ジャミー君」…理由とは?

 自動車教習所のカリキュラムのひとつに応急救護講習があり、人体を模した人形を使って人工呼吸や心臓マッサージなどの練習をおこないます。
 
 実はこの人形、巷で「ジャミー君」と呼ばれていますが、一体どのような由来があるのでしょうか。

ドキドキする応急救護講習で彼に出会った…! その名は?(画像提供:株式会社ヤガミ{写真は編集部で一部加工})

 運転免許を取得する際、多くの人が自動車教習所に通います。

【画像】彼はどんな存在? 謎の「ジャミー君」を写真で見る!(10枚)

 警察庁交通局運転免許課が公表している「運転免許統計 令和4年版」によると、第一種普通免許取得者117万6433人のうち指定自動車教習所を卒業した人が109万1661人と約93%を占めていることからも、その多さがうかがえます。

 普通免許の場合、自動車教習所で第1段階の学科教習と技能教習を受け、仮免許を取得した後に第2段階の学科教習と技能教習を受講するのが大まかな流れです。

 その中でも、第2段階の学科教習には「応急救護」に関する講習があります。

 応急救護講習は、万が一の交通事故の際に怪我人を救助できるように救護方法を学ぶ大切な講習であり、具体的には負傷した人に対する措置や胸骨圧迫(心臓マッサージ)の方法、AEDの使用方法などを実際に練習します。

 すでに普通免許や準中型免許、大型二輪免許、普通二輪免許のいずれかを有している人のほか、医師や看護師、救急救命士など専門の資格を持っている人などは講習が免除されますが、基本的に初めて運転免許を取得する際には受講しなければいけません。

 この応急救護講習の場面で欠かせないのが、訓練用人形です。

 X(旧Twitter)で自動車教習所のアカウントがこの人形を紹介したところ「ファーストキスの相手だよ」というコメントや「ジャミー君!一緒に練習したことは忘れないよ」などの反響が寄せられました。

 人形が着用している上着に「JAMY」と書かれていることから「ジャミー君」と呼ばれていますが、この名称には一体どのような意味があるのでしょうか。

 この訓練用人形を製造・販売しているヤガミの商品企画担当者は、人形の正式名称とその由来について次のように話しています。

「日本の:Japanese(ジャパニーズ)、等身大の人体形:Dummy(ダミー)の造語でJapanese Dummy=JAMYとなります」

 ヤガミでは唯一の国産ブランドとして一次救命処置用の訓練人形を販売しており、それが名称にもあらわれているといえるでしょう。

 担当者によると、実は訓練用人形の販売先は自動車教習所が最も多く、そのほかは日本赤十字社や消防署などに採用されています。

 なお、自動車教習所で最も使用されている人形は「蘇生法教育人体モデルJAMY G2020全身モデル」であり、全長が約160cm、重量は人形の収納ケースや付属品をあわせて約10kgです。

 全長は割と大きいように感じますが、折りたたんでコンパクトに収納できます。

 この訓練用人形に関しては実際に講習を受けた人から「皮膚も気道もちゃんとしていた」、「本物の人間みたいにリアル」など驚きの声が寄せられています。

 人形を製造する上での注意点やアピールポイントなどについて、前出の担当者は以下のように説明しています。

「救急蘇生法のガイドラインに沿った手技が確実に実施できる構造にするため、できるだけ人体に近い肌触りの素材を使用し、蘇生訓練時に違和感がないようにしております。

 また、人工呼吸や胸骨圧迫の変化量をレベルメータで確認できる表示器を標準搭載していますので、手技の習熟度の確認に役立ちます」

 レベルメータには人工呼吸の際の「呼気吹き込み量」や胸骨圧迫における「圧迫深さ」などが表示されるため、初めて講習を受ける人でも感覚的に分かりやすく救護方法を学べます。

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 応急救護講習で使用される訓練用人形には「JAMY」(ジャミー)という名前が付いており、自動車教習所や病院、消防署のほか、一般企業でも導入されています。

 ジャミー君は今日もいろいろな場所で活躍しているのかもしれません。