東実初の年代別日本代表選手が、国際試合に挑戦する。U-16日本代表は2日、「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」(福島・Jヴィレッジ)第2戦でU-16ナイジェリア代表と対戦。初選出のCB田中玲音(東京実高)は、父の母国であるナイジェリア戦で“代表デビュー”を飾ることになりそうだ。

 ナイジェリア人の父と日米にルーツのある母を持つ田中は、07年早生まれの高校2年生。184cm、70kgの長身ストッパーだ。「(ストロングポイントは)高さを活かしたヘディングの部分やキックの部分です」と語るCBは、東京実で1年時から先発を務め、昨年度の選手権予選時には片山智裕総監督が「彼は結構将来有望かなと。メンタル崩れないし」と期待感を口にしていた。

 本人は当初、「東実入った時に正直、自信がなかった」と振り返る。だが、経験を重ねるにつれて自信をつけた田中は今年、東京都トレセンU-16でも高評価を獲得。そして、「最初は、やっぱりビックリしました」というU-16日本代表初選出のチャンスを掴んだ。

 U-16日本代表メンバー発表後に行われたインターハイ東京都2次予選1回戦(5月28日)で駒澤大高に0-1で惜敗。そこから切り替え、U-16日本代表合宿には「選ばれたからには『自分はやるんだ』という気持ちで来て、自分の課題を見つけたり、自分がこれから成長していくためのものを掴んでいきたいと思います」という思いを持って臨んでいる。

 トレーニングでは、パススピードには対応できているというものの、質を向上させる部分など「課題からなくしていくことが必要だと思います」と実感。片山総監督も視察に訪れた1日のトレーニングでは積極的な動きを見せ、全体トレーニング終了後には、U-16日本代表の廣山望監督からサイドチェンジの際にどこを見てから蹴るのか直接指導を受けていた。

 田中は、年代別日本代表に選ばれたことに対しての責任感を強く抱いている。「代表呼ばれるというのは難しかったり周りの目もあるのでしっかりとやっていくのと、呼ばれて次呼ばれなかったら意味がないし、呼ばれてチーム帰ってウキウキしたり、謙虚さがなくなったらダメだと思うので、謙虚さや責任感を持って行動していきたいと思っています」と語る。

 そして、この経験を自身と東京実の成長に繋げなければならない。「自分がこの経験をして自分だけの課題じゃなくて、チームにこういうのが足りないとか、代表の選手と何が違うのか伝えていって、自分が東京実業の中心となって引っ張って行けるように頑張りたいです」。チームとしては今秋の選手権予選で初優勝、そして個人としては、代表チームに定着し、プロへ羽ばたくことを目指していく。

 5月31日の「U-16インターナショナルドリームカップ2023 JAPAN」初戦は出番がなく、チームも1-2で敗戦。6月2日のナイジェリア戦は荒天が予想され、キックオフ時間も当初の予定よりも1時間早まる中での難しい戦いだ。田中は「失点しないというのは考えていますし、CKで点を取ってアピールしたい」と宣言。国際試合で全力を出し切り、体感したことを必ず将来に繋げる。

(取材・文 吉田太郎)