13歳未満の子どもの個人情報管理について定めた児童オンラインプライバシー保護規則(COPPA規則)に違反したとして、Amazonが2500万ドル(約35億円)の和解金を支払うことに同意しました。本来であれば適切な期間が経過した後に削除しなければならないはずのデータを、Amazonは不正に保持していました。

FTC and DOJ Charge Amazon with Violating Children’s Privacy Law by Keeping Kids’ Alexa Voice Recordings Forever and Undermining Parents’ Deletion Requests | Federal Trade Commission

https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2023/05/ftc-doj-charge-amazon-violating-childrens-privacy-law-keeping-kids-alexa-voice-recordings-forever



Amazon responds to FTC settlement regarding Alexa

https://www.aboutamazon.com/news/policy-news-views/amazon-response-to-ftc-settlement-regarding-alexa

COPPA規則では、13歳未満の子どもが使用するウェブサイトやオンラインサービスの運営者に対し、子どもから収集した情報について保護者に通知し、収集することについて保護者の同意を得ること、そして保護者がいつでもその情報を削除できるようにすることなどを義務づけています。さらに、収集した情報をサービス提供のために合理的とみなされる期間を超えて必要以上に保持することを禁じています。

アメリカ連邦取引委員会法(FTC)は「Amazonが子どもの情報を不適切に保持し、その情報をアルゴリズムの改善に使った上、親からの削除要請に適切に応えることができなかった」としてAmazonを告訴。2023年6月1日、Amazonは情報の削除と罰金の支払いに同意しました。



FTCの訴状によると、Amazonは音声アシスタントサービスのAlexaの処理能力を向上させるために子どもの音声と位置情報を収集し、何年も保管していたとのこと。保管そのものは本来問題ありませんが、Amazonは顧客に対して「望めばいつでも情報を削除できる」と宣伝していたにもかかわらず、情報の一部をそのまま残していたとのこと。加えて、親が要求しない限り、情報を無期限で保管していた可能性がある点もFTCは問題視しています。

FTCの消費者保護局長であるサミュエル・レヴィン氏は「Amazonが保護者を欺き、子どもの情報を無期限に保管し、保護者の削除要求を無視したという経緯はCOPPA規則に違反しており、自社の利益のためにプライバシーを犠牲にしています」と述べました。



Amazonは情報削除および罰金支払いに加え、データ改善のために位置情報・音声情報・子どもの音声情報を使用すること、これら情報について虚偽の表示をすることが禁じられ、子どもの非アクティブなAlexaアカウントを削除すること、情報の保存および削除の慣行についてユーザーに通知することなどが求められました。

Amazonは「私たちは、お客様とそのご家族に対する責任を非常に重く受け止めています。私たちは、お客様のためにより多くのプライバシー機能を考案し、お客様が利用できるコントロールとオプションを確実に認識できるようにしていきます」と述べました。