第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が行われ、松坂大輔、イチロー、松永信彦らの大活躍で、日本が初代王座に輝いた2006年、日本のおもちゃ業界では、プラレール、トミカ、黒ひげ危機一発などの名作を生んだトミーと、ダッコちゃん、リカちゃん、チョロQ、ベイブレードなどのメガヒット作を持つタカラが合併し、世界的玩具メーカー「タカラトミー」が誕生した。

タカラの創業は、NHK、日本テレビが放送を開始した1953年だが、トミーはそれに先立つ29年前の1924年、力道山、カール・ゴッチ、ボボ・ブラジルが産声を上げたその年に誕生。タカラトミーの社史もこの年を創業年とし、トミーを立ち上げた富山栄市郎を創業者と位置付けている。
つまり、タカラトミーは、来年2024年に創業100年を迎えるという記念すべき年となる。

そのタカラトミーが、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(以下「JAXA」)の「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みの下、2016年からJAXAとタッグを組み、玩具製作で培った軽量化の知見と、トランスフォーマーなどに生かした変形機構に関わる技術を生かし筐体の共同研究を開始。その後、2019年にソニー、2021年に同志社大学が加わり、4者で共同開発を進めて生み出したのが、超小型の変形型月面ロボット「愛称:SORA-Q(ソラキュー)」だ。

「SORA-Q」は、直径約80mm、質量約250g。月面に着陸する小型月着陸実証機「SLIM」に搭載され、月に向けて2023年8月以降に打ち上げられる予定。月面に着陸後、瞬時に球体が左右に拡張変形し、月面を走行する。そして搭載された前後2つのカメラで撮影した画像をLEV-1(ともにSLIMに搭載され、探査する小型プローブ)を経由して地球に送信する計画となっている。

そして、この「SORA-Q」の1/1スケールモデル「SORA-Q Flagship Model(ソラキュー フラッグシップモデル)」と、漫画『宇宙兄弟』とコラボレーションしたスペシャルモデル「SORA-Q Flagship Model -宇宙兄弟EDITION-」の2種が、2023年9月2日(土)から発売されることが決定したのだから、宇宙ファンにはたまらない朗報だ!

「科学技術の進んだ国にこそおもちゃは栄える」これはタカラトミー創業者・富山栄市郎の残した言葉。
高度な科学技術をもっと身近に感じるための創意工夫、おもちゃ屋ならではの発想や技術力は、これまで多くの子どもたちに驚きや感動を与えてきた。創業以来、守り続けてきたおもちゃ作りの原点である、安心・安全な品質と細部にまでこだわる職人魂、柔軟な発想力、そしてなによりも子どもたちを笑顔にしたいという強い想いが「SORA-Q」を通じて宇宙探査に活かされることで、子どもたちがこれまで以上に自然科学領域に興味を持ち、宇宙の面白さを知ってもらうきっかけとなってくれることだろう。

「SORA-Q Flagship Model」は、モデルとはいえ、そのクオリティは高い。
月に行く機体と同じ大きさ(直径約80mm)、同じ変形、同じ動き(バタフライ、クロール走行)を再現した、1/1スケールモデル。専用のアプリ(無料)を使用して操作し、月面で動くSORA-Qと同じ動き(変形や前後左右の操縦)が楽しめる。また本体カメラを通しての写真撮影や、月面探査の疑似体験(ARを活用して指令をクリアするアプリ内ミッション)など、月での感動体験を自宅で再現できるというわけ。
アプリ内ミッションの結果や撮影した画像は ”探査記録” としてアプリに蓄積されるほか、JAXA等が所有する月の画像を使用した月面探査の疑似体験を通じて ”月や宇宙飛行士に関する知識” を得ることができる仕様になっているのだから、うれしい限り。

「タカラトミーモール」では、現在「SORA-Q Flagship Model」の予約を受け付け中。2023年4月28日(金) からは「SORA-Q Flagship Model -宇宙兄弟EDITION-」(数量限定)の、予約受け付けが開始される。