食楽web

カルディで1人2個しか買えない「黒麻婆豆腐の素」は何がそんなに美味しいのか? 実際に買って食べてみた!

 “○個限定”や“先着○名様”などと聞くと、つい「買わなきゃ!」という気分になりがち。こういう心理を「希少性の法則」と呼ぶそうです。人は、手に入りにくいものを希少価値があると感じ、獲得したい欲望が瞬時に湧き上がる――という原理です。

 かく言う筆者も先日、カルディでそんな欲望に駆られました。それは「黒麻婆豆腐の素」(198円)という商品に添えられた「おひとり様2点まで!!」というPOPを見た瞬間でした。味も知らないのに、即買いです。まだ食べてもいないのに妙に嬉しく、売り切れる前に入手できたことによる優越感すら感じます。

 しかし、よくよく考えれば、特にその日に麻婆豆腐が食べたかったわけでもなく、しかも筆者は麻婆豆腐を作るときは、同じくカルディで売っている「陳麻婆豆腐」(581円)という調味料で作るのが一番美味しいと思っているので、実は家にストックしています。

いつもストックしている「陳麻婆豆腐」は581円(3袋入り)。花椒の粉も付いています

 この「陳麻婆豆腐」は、中国・四川省成都にある麻婆豆腐発祥の店『陳麻婆豆腐』から直輸入される液体調味料(輸入しているのは株式会社ヤマムロ)。ひき肉などを加えて作ります。かなり辛いですが、香りも味も超本格的で美味。よって、これまで他の麻婆豆腐の素に浮気したことはありませんでした。つまり今回は、「希少性の法則」にまんまと引っかかってしまったわけです。

 とはいえ、1人2個限定とPOPで煽っているくらいなので、相当に美味しいと推測されます。そこで、実際にカルディオリジナルの「黒麻婆豆腐の素」を使って麻婆豆腐を作って食べてみたので、その味わいをご紹介しましょう。

気になる「黒麻婆豆腐の素」の味は?

「黒麻婆豆腐の素」で作った麻婆豆腐

 さっそく作っていきます。「黒麻婆豆腐の素」1袋に対し、材料は豆腐(木綿でも絹でもOK)1丁(約300g)、合挽き肉100g。これだけ。あとは好みで青ネギやニラを加えても良いと思います。

豆腐はキッチンペーパー包んで、重しをのせて水抜きします。面倒ならレンチンでも可(食楽web)

 豆腐は水抜きした後、さいの目切りにします。フライパンで合挽き肉を炒め、肉に火が通ったら「黒麻婆豆腐の素」を入れ、軽く炒め合わせたら、そこに豆腐を入れて2~3分煮込みます。最後にお好みで青ネギやニラなどを入れてしんなりしたら出来上がり。

合いびき肉と「黒麻婆豆腐の素」を混ぜ合わせたら、豆腐を入れて2~3分煮込みます

 見ての通り、作るのは超簡単です。そして肝心の味はというと、これがまた、かなり本格的な味わいでした。しっかり辛く、中国の味噌、豆鼓(黒豆を発酵した調味料)や甜麺醤などの旨味・甘味と、深いコクを感じます。味噌感が強くて、ご飯が無限に食べられそうなほど美味しい!

カルディの「黒麻婆豆腐の素」を使って作った麻婆豆腐

 しかし、ここで気になったのは、いつも食べている「陳麻婆豆腐」と比べたら、どっちが美味しいのか? ということ。そこで、ストックしてある「陳麻婆豆腐」と食べ比べてみることにしました。

カルディの売れっ子“麻婆豆腐の素”2つを食べ比べてみた!

右が「陳麻婆豆腐」の素で作った麻婆豆腐。左が「黒麻婆豆腐の素」で作った麻婆豆腐

「陳麻婆豆腐」の素で作った麻婆豆腐と「黒麻婆豆腐の素」で作った麻婆豆腐。画像の通り、前者は赤く、後者は黒い。まず色の差が歴然です。そして食べ比べてみても、味がかなり違うことがわかりました。

「陳麻婆豆腐」は、辛くてシビレ感が強烈。豆板醤の塩味・酸味が強くて、甘さはほとんど感じません。直接的に舌が刺激を感じるような、キレのある味わいです。

「陳麻婆豆腐」の素で作った麻婆豆腐は、辛シビ感、塩味、酸味も強くて、甘みは少ない

 一方、カルディオリジナルの「黒麻婆豆腐の素」で作った黒い麻婆豆腐は、前述のとおり味噌感が強く、甘みと旨みがハッキリしています。陳麻婆豆腐に比べ、辛さとシビれ感が控えめな分、我々日本人が大好きな“コク”に振り切っている印象です。

 つまり、2つは味の方向性が全然違うことが判明。ただし、甘さの際立つ日本の麻婆豆腐とは違い、本格的な中国の風味を強く感じるのは共通しています。好みは人それぞれだと思いますが、カルディの「黒麻婆豆腐の素」はどちらかというと万人受けする味わいであり、「陳麻婆豆腐」の素は、スパイシーで酸味のあるマニアックな味、と言うことができるかもしれません。

カルディの「黒麻婆豆腐の素」で作った麻婆豆腐

 ともあれ、今回、カルディの「黒麻婆豆腐の素」をジャケ買いしてみたわけですが、結果的には正解だったと思います。何しろ、これからは方向性の違う、2つの麻婆豆腐を楽しめるので。見かけたら迷わず即ゲット推奨です。美味しいですよ!

(撮影・文◎土原亜子)