イギリスである容疑者の家宅捜索をした際の写真が公開され、話題を呼んでいる。写真には警察官が建物の窓から外を覗く姿が写っているが、警察官のすぐ近くに容疑者の男の姿があったのだ。まるでアニメのような状況に驚きの声が集まっているが、最終的にこの男は警察官に見つかり逮捕されたという。英ニュースメディア『Liverpool Echo』などが伝えている。

2月24日、英リバプール市カークデールのスタンリー・ロードにある建物で、玄関ドアの鍵を交換するために鍵屋が派遣された。警察官は以前から目をつけていたのか、同建物内で大麻が栽培されている可能性が高まったことを受け、家宅捜索に乗り出した。

建物はテラスハウスと呼ばれる低層の集合住宅で、そのうちの6部屋で大麻の栽培設備が見つかり、合計200本以上の大麻草が発見された。建物内に人影はなかったが、食べ物があり何者かが住んでいた痕跡があったという。誰かがいると確信した警察官は、建物を隅々まで捜索して容疑者を見つけ出すことにした。

当時、この建物内部にいたのはエトモンド・リカ(Etmond Lika、32)という男だった。エトモンドは警察官の姿を見ると、逮捕から逃れるため急いで身を隠すことにした。エトモンドが焦りながらも考えついた隠れ場所は、なんと屋根の上だった。天窓から屋根の上に登ったエトモンドの姿が写真に収められ、そこには窓から外を見る警察官が写っていた。そして警察官の真上には、片方の手をポケットに突っ込み、リラックスした様子で窓枠に立ち屋根にもたれるエトモンドの姿があった。奇抜なアイディアで見事に警察の目を欺いたかと思われたが、最終的にエトモンドは警察に見つかり逮捕された。

エトモンドは当初、容疑を否認したが、昨年9月にアルバニアからボートで海を渡ってイギリスに不法入国したと話した。経済的に困窮していたというエトモンドは、イギリスへ渡航するため何者かに5000ユーロ(約72万円)を支払ったことも告白している。

3月28日にリバプール刑事法院で行われた裁判では、クリストファー・ホプキンス検察官(Christopher Hopkins)が「エトモンドは栽培されていた植物の世話をし、この建物を管理・運営するため誰かに雇われていました。彼は何か大きな経済的利益を動機とし、建物の中で何が行われていたのかも理解しているはずです」と見解を述べた。

エトモンドの弁護人であるオリヴィア・ビーズリーさん(Olivia Beesley)によると、エトモンドは依頼人からこの仕事を受ける前の1週間はホームレス状態だったという。追い込まれたエトモンドは一日につき100ポンド(約1万6千円)を依頼人からもらう代わりに、この建物に住んで植物の世話などを行っていた。エトモンドは「適切なルートで仕事を見つけるべきだった。罰を受けなければならないのは理解しているので、真摯に判決を受け入れたい」と話している。またエトモンドにはイギリスとアルバニアの両国において前科がないと公表されている。

エトモンドには2年4か月の禁固刑の判決が下り、大麻草と栽培に使用されていた道具一式の没収、および破棄が命じられた。

エトモンドが屋根に逃げた様子を捉えた写真が裁判で公開されると話題を呼び、「これはちょっと面白い」「もし窓を閉められてしまったら大変だ」「新しいタイプのスパイダーマンか?」など多数のコメントが寄せられていた。

ちなみに昨年5月には、家宅捜索を受けた窃盗犯の男が巨大なテディベアの中に隠れたものの、あっさりと見つかって逮捕されていた。

画像は『The Mirror 2023年3月29日付「Incredible moment man hides just one foot away from officer on roof during police chase」(Image: Liverpool ECHO)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 iruy)