【ソウル聯合ニュース】韓国の外交・安全保障の司令塔である金聖翰(キム・ソンハン)国家安保室長が29日に声明を出し、辞任する意向を表明した。

 大統領室の儀典秘書官と外交秘書官が相次いで交代したばかりで、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の訪米の調整を巡る問題と無関係ではなさそうだ。尹大統領は4月末に米国を国賓として訪問し、バイデン大統領と首脳会談を行う予定で、尹政権最大の外交イベントといえる韓米首脳会談の準備にも影響が避けられないとみられる。

 金氏は「本日付で国家安保室長の職から退く」として、「1年前、大統領から提案を受けた際、韓米同盟を復元し、韓日関係を改善して韓米日の安保協力を強化するための土台をつくった後、大学に戻るとお伝えした」として、「その条件がある程度満たされたと思う」と表明。「米国訪問の準備もしっかり進められており、後任も支障なく業務を遂行できると思う」と述べた。

 また、「私を巡る論争がこれ以上外交と国政運営の負担にならないことを望む」と述べた。

 尹政権が発足した昨年5月に国家安保室長に起用された金氏は韓米同盟を重視する姿勢を示していた。対北朝鮮政策でも「原則のある南北関係」を前提に非核化を推進する立場を堅持してきた。

 金氏の辞任は韓米首脳会談を控えている敏感な時期に行われ、注目を集める。背景を巡り憶測が飛び交う可能性もある。

 大統領室などでは米側が尹大統領の訪米に合わせ韓流スター関連プログラムを提案したが、尹大統領に報告されていなかったことが判明し、問題となったという話が出ている。バイデン大統領のジル夫人が特別な関心を示していたとの情報もある。

 そのため、事実上の更迭との見方もある。

 政界では対日関係などで金泰孝(キム・テヒョ)国家安保室第1次長とのあつれきを挙げる分析もある。