日産がR32型『スカイライン GT-R』を電動化

日産 スカイライン GT-R (R32型)

日産は2023年3月28日に、R32型『スカイライン GT-R』をEVコンバージョンしたコンセプトモデル『R32EV』の製作に取り組むことを発表しました。

EVコンバージョンは、主にクラシックカーや古くなったスポーツカーなどを電気自動車に改造する手法で、近年はチューニングカーの展示イベント等でもメーカーが脱炭素に向けた取り組みとしてコンセプトモデルの発表を行なうなど、広がりを見せています。

日産はこの取り組みについて、GT-Rに憧れて日産に入社した技術者の「最高に好きな車に、今自分が最高と思う技術を掛け合わせたら、世の中の人がもっとワクワクする車を造れるのではないか」という思いから始まったと説明しました。

日産の最新電動化技術で生まれ変わるR32型スカイライン GT-R

R32型スカイライン GT-Rは、モータースポーツで有利になるよう専用に開発された2.6リッター直列6気筒ツインターボエンジンの「RB26DETT」を搭載し、ほかにも4輪制御システム「ATTESA E-TS」や4輪操舵システム「Super HICAS」といった当時の日産の最新技術を採用したハイパフォーマンスモデルです。

今回、EVコンバージョンのコンセプトモデル『R32EV』の製作にあたっては、日産の最新電動化技術を採用することを発表。

『アリア』などに採用している、路面や走行状況にあわせて前後輪へのトルク配分を最適化する電動4輪制御技術「e-4ORCE」を、R32EVにも採用することが考えられます。

「RB26DETTあってのR32」複雑な思いを抱くファンの声も

日産 RB26DETTエンジン

日産が製作を発表したR32EVに対してSNSなどでは、応援する声があるいっぽうで、「RB26DETTがあってこそのR32型ではないだろうか」とスカイライン GT-RのEVコンバージョンを快く思わないファンもいるようです。

R32型からR34型まで3代にわたってスカイライン GT-R専用エンジンとして搭載されたRB26DETT型エンジンは、現在もその性能やエンジンサウンドにファンが多いため、EVコンバージョンによってパワートレインを置き換えることはR32型スカイライン GT-Rの魅力を損ねるのではないかと懸念する声もありました。

ほかにも、RB26DETTの音や振動を残してほしいという思いから、水素を燃料とする水素エンジン化を望む声も出ています。

トヨタはAE86型『スプリンタートレノ』に水素エンジンを搭載

トヨタ AE86 H2 Concept

トヨタは、2023年1月13日の東京オートサロン2023で、水素エンジンを搭載するAE86型スプリンタートレノのコンセプトモデル『AE86 H2 Concept』を公開しました。

AE86 H2 Conceptは、音や振動といった内燃機関のもつ魅力を楽しみながら走行可能な車両として開発され、室内後方に『MIRAI』の高圧水素タンクを2本搭載。そのほかはインジェクター、フューエルデリバリーパイプ、プラグなど最小限の改造規模に留められていました。

トヨタが公開したAE86 H2 Conceptの試乗映像では、出力はまだ低いものの、音や振動はAE86型スプリンタートレノのままだとされ、古くなった愛車でもオリジナルを極力保ったまま脱炭素を実現できることが示されています。