《即日ワンナイトも》お盛んな既婚者パーティの実態。女性はときめきを求め、男性は寂しさと少しのいやらしさを胸に抱えて出会いを求める

晩婚化や未婚化がいよいよ深刻な問題となるなかで、既婚男女が出逢いに勤しんでいる。“既婚者の出会い”とググると、出るわ出るわ「既婚者合コン」「既婚者パーティ」「既婚者サークル」「既婚者向けマッチングアプリ」の数々。そこには“いくつになっても恋がしたい”と目を輝かせる既婚女性と“あわよくばヤリたい”という既婚男性との戦いが繰り広げられていた――。

年下男性との付き合いが忘れられない40代パート女性

既婚者を対象にしたおおっぴらな出会い、それが対面形式の既婚者パーティだ。業者が参加費(男性はだいたい1万円前後で女性は1000円~4000円前後、女性は無料の場合も)をとって男女比を合わせて行われる。

主催社は複数あり、利用者の中では「A社に集まる男女はレベルが高い」「B社はレベル低め」など評判はさまざまなようだ。開催エリアは都内なら新宿、渋谷、銀座など各所で行われ、開催店舗も和洋中とバリエーションがあり、時間帯は昼夜とどちらもある。

年代は20代以上から年齢制限は設けられておらず、参加条件は“既婚者である”ことのみ。

業界大手の募集サイト

記者がまず参加したのは、渋谷のイタリアン店でのランチ会。店内は貸切で、7つのテーブルに男性3人、女性2人か3人という組み合わせで着席。20分ほど会話をした後、男性チームが席を時計回りに回って1周するという仕組みだった。

記者の隣に座った女性は大阪出身の40代女性で中学生の娘がいるA子さん。普段はパートで働いており、今日は休みだという。A子さんは言う。

「以前このパーティで30代の男性と出会って1年くらい付き合っててん。2度目の食事の後、男性側から『付き合って』と言われて、映画やディズニーシー、一泊旅行にも行って本当に楽しかったんよ。もちろんエッチの相性も抜群で、フツーのカップルみたいな時間を過ごしとったんやけど、彼が急遽、地方転勤になり関係は終了。めっちゃ泣いたわ。本気やったから…」

今もその年下男性が忘れられないらしく、代わりとなる年下彼氏を探しており「なかなか見つからんわ」と嘆く。

一方の男性参加者からはこんな素直な意見も出てきた。元中学校教師で現在は教育委員会でお勤めの2児の子持ちの40代男性、Bさんは言う。

「パーティはマッチングアプリで出会うよりもよっぽど効率がいい。アプリは一対一の出会いで会うと加工写真とは別人みたいな女性が来ることもある。けどパーティだったら面と向かって一回で20人以上の女性と出会えるので効率がいいんですよ」

夜のパーティはぶっちゃけトークに花が咲く

話題は子供の受験やらペットに趣味の話など当たり障りのない内容。まるでママ友やパパ友同士の会話のようだ。たまに男性から女性に「LINE交換しませんか?」と言って交換しているが、基本的には密かに目を光らせて探り合うような視線が飛び交う感じが、なんともムズがゆい。

既婚者パーティの募集要項

次に参加したパーティは新宿の某ホテルのイベント会場で行われた夜の部のパーティ。ここは昼間のランチ会とは雰囲気が少し変わり、ぶっちゃけトークが多かった。

記者の隣は推定50代中盤の専業主婦女性、Cさん。「今日は子供も夫もみんな遊びに行ったから私も出てきたの」とのこと。

Cさんは男性にどんな相手を探しているのかと問われると「やっぱ彼氏がほしいけど、彼氏とか言われると男性は引きますよね。そっち目的って男性も多いみたいだし?」とニヤリとしながら男性の表情を伺う。男性は「ははは…」と目が泳いでいた。

今回感じたのはCさんの積極性。美容サロンオーナーを名乗っていた45歳男性に「すごいお肌綺麗ですね、何してるんですか」と聞き、男性が「脱毛だけですよ」と答えると「やっぱり、美容脱毛より医療脱毛がいいですかねえ」とさらに質問。男性がすかさず「えっ、どこを脱毛してるんですか?」と質問返しすると、Cさんは「3点セット、全部やってまーす」と堂々発言。

男性の「下もツルツル?」とのツッコミに対し「いえ、下は大人の証としてVゾーンだけ残して、それ以外はトゥルトゥル!」とぶっちゃけていた…。男性は「けっこう、ストレートに答えてくれるんですね」と若干ヒイていた。

Cさんが次に狙いを定めたのは30代男性。「井上尚弥に似てるって言われない?」「私、井上尚弥大好きなの、待ち受けにしてるんだ」とグイグイ。「よければLINE交換しませんか」と自らLINE交換を申し込んでいた。

その後、尚弥たちが席を離れた際に、こそっと「やっぱり男性は自分がいいって思った女性には連絡先を自ら聞くるから、こうして自分から聞いた場合は上手くいかないし、続かないんだよね…」と漏らしていた。

「俺は目まぐるしく攻守が入れ替わる
サッカーのようなセックスがしたい」

夜の部は、これだけでは終わらない。一次会が終わる時間は21時前。「速やかにご退場ください」という司会の指示に従い会場を出ると、先に出た男たちが入り口付近で待機しており「二次会行きませんか」と誘ってくる。

私はCさんと、ぽっちゃり系38歳専業主婦とパーティに参加していた男性3人組と共に3対3の二次会へ。

ここではさらなるぶっちゃけトークが繰り広げられた。Cさんは「夫とはもう10年以上レス、やっぱり寂しいよねー」と言うと、38歳主婦は「ウチは夫とは週2、3回してますよ」と、軽くマウント。このパーティは「非日常を味わうために来てる」のだとか。

また、メーカー勤務の45歳男性Dさんは「既婚者向けアプリも使ってる」という。そこで出会った女性とのこんなゲス話を披露してくれた。

「先日、アプリで出会った女性と飲みに行ったんだけど…なんか将来、自分がやりたい仕事だの夢だのの話を始めて“いまその話されても…”って全然乗らなくて。でも、なんかの話の流れで脱毛がどうのって言い出したから“シモ系ついでにエッチな話でも…”って思ったのに“今まさに介護脱毛してる”とか言い出すからガッカリ。

なんてデリカシーがないんだと。俺はこれから介護脱毛の女を抱くのかと。一応、そういう流れになったんでバイアグラも仕込んだけど…結果おもろくなかった。プレイスタイルが完全に“野球”っていうか。わかりやすく1セットで攻守交代するんじゃなくて、俺は目まぐるしく攻守が入れ替わるサッカーのようなセックスがしたいんだよ…」

アプリでベッドの“サッカー”対戦相手を探していたDさん

やかましいわ、と思わずツッコミを入れたくなるDさんの語りぶりだが、その影にはこんな“寂しさ”や“やるせなさ”があった。

「妻とは10年近くレス。ウチは共働きで妻の方が稼ぎがいい。俺も転職前までは妻と同収入だったけど、二人目ができてからは働き方を変えて残業のない業種に変えた。妻は四六時中、仕事のことばかりで家庭を顧みないし、俺がそのことを言うといつも収入のことをチクリと言われる。

離婚する気はないけど、まだ小学校低学年の子供にとってこんな暮らしでいいのかな、という疑問はあるよ。俺の母は専業主婦で、自分が育った環境とは大違いだし。まあ大きな不満はないけど、満たされなさはあるよね。パッと憂さ晴らししたいけど、そんな都合よく共犯者的にサッカーができる女性、なかなかいないよね(笑)」

二次会終わりの後、店を出ると、45歳男性のDさんは38歳人妻女性の手をグッと握り「ホテルでもいこっか!」と誘っていた。女性は「やだ~!」と笑いながら足早に帰って行った。Cさんはそれを横目に寂しげに帰って行った。

既婚者パーティの夜の部では、お互い気が合いさえすれば、その日の晩にそのままホテルへ…というケースもあるのかもしれない。

女性はときめきを求め、男性は寂しさや虚しさ、少しのいやらしさを胸に抱えて、日夜繰り広げられる既婚者パーティ。

みんな何かを抱えている。その抱えた何かが少しでも軽くなりますようにと今日も都内各所のどこかに寄り集まっている。

取材・撮影・文/河合桃子