◆御室 仁和寺で咲き誇る、八重桜の雲海“御室桜”とアートの祭典/京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。

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二十四節気×色をテーマに、京都在住の広報・PRとして活躍する西井さんが紹介する「京都ノ彩リ、出逢ウ巡ル。」。初々しい若葉が春風にそよぎ、春の余韻に名残惜しさを感じる「清明(せいめい)」のころ。京都・仁和寺は、4月上旬〜中旬に遅咲きの八重桜“御室桜(おむろざくら)”が、視界いっぱいに咲き誇ります。

兼好法師が記した徒然草に登場する格式高い寺院では、どんな「イロドリ」に出逢えるのでしょうか。

◆京都“清明”ノ彩リ、出逢ウ巡ル。/仁和寺

仁和寺とは、そのはじまりは?
今回訪れたのは、京都御室にある真言宗御室派 総本山仁和寺。時の天皇であった宇多天皇が先帝の遺志を継がれ、当時の元号であった「仁和」寺として創建されました。

宇多天皇が出家し、仁和寺初めての住職(第1世)“法皇”となった以降は、皇室出身者が代々仁和寺の住職を務め、そこから鎌倉時代までは、寺院の中でも最高の格式である“門跡寺院”として保たれてきました。

応仁の乱による戦火で境内はほとんど焼失してしましたが、約160年を経て、徳川幕府3代将軍・家光に再興を認められ、紫宸殿や清涼殿など今にも受け継がれる見事な建造物が建てられていきました。現在では「古都京都の文化財」として世界遺産にも登録されています。


江戸の庶民に愛された“御室桜”と淡緑色の桜”御衣黄”
江戸時代から多くの人たちを魅了してきた“御室桜”は、仁和寺中門内の西側にある名勝「桜苑」に咲く「御室有明(おむろありあけ)」という品種を中心とする約200本の桜の総称です。

八重、半八重、一重の花が入り混じり、白や淡紅色が印象的な色合い。背丈も2メートルほどと低く、目線の高さに花が咲くのが特徴です。

江戸時代の儒学者・貝原益軒が書いた『京城勝覧』(けいじょうしょうらん)では、奈良の吉野の桜に比べても劣らない御室桜を、民衆が盛り上がりながら楽しんだと、当時の花見の様子が描かれております。

ぜひ皆さんも古くから親しまれてきた“桜の雲海”を愛でながら、巡ってみてください。


御室有明だけではなく、仁和寺には約10種類の桜の品種が咲き誇り、その中でも際立って興味深い桜が“御衣黄”です。

御衣黄は平安時代の貴族が召した、衣服の萌黄色に近いことが名称の由来となり、その桜の花色も淡い緑色を纏ったような見惚れるほどの彩りです。

境内の勅使門近くに咲いているので、名勝「桜苑」だけでなく、仁和寺の様々な場所で咲く桜を巡りながら、“御衣黄”に出逢ってみてください。


古典文化とアートとの調和、新たな文化財を生み出す藝術祭。
仁和寺では2023年3月18日(土)〜5月7日(日)まで「文化財(仏教文化)で繋がる」をテーマに、春の御室藝術祭が開催されています。

寺院がアートに彩られるなんて素敵と感じた方もいると思いますが、実は平安時代の頃から“仁和寺文化”と称され、貴族や史上の有名歌人などが集い和歌会が行われるなど、藝術・文化の社交場でもありました。『大鏡』『平家物語』等々の古典文学にも、密教を教え伝えるだけではなく、文芸、絵画、建築等、文化を発信する場として仁和寺の姿が描かれています。

「平安時代における“職人の技術”が、現代まで守り遺されてきたことで“技術が藝術”として評価されているのだと思います」と、寺院の方も。若手アーティストの作品も展示される御室藝術祭、今まさに鑑賞している絵画が100年後には、文化財として展示されているのかもしれませんね。


可愛さあふれる、桜御籤と桜絵馬。
ぱっと可愛らしいデザインが印象的な桜みくじと桜絵馬(共に志納金500円)。今年の御室桜の公開にあわせて、「大切な人の幸せや学業成就、人それぞれの想いが花咲くように」と、寺院で働く女性スタッフの皆さんで思案し、デザインされたそうです。

御室桜や御衣黄に見惚れながら桜絵馬に想いをしたため、「明日の私が良くなりますように」と祈りながら桜のおみくじを引いてみてはいかがでしょうか。
真言宗御室派 総本山仁和寺
住所/京都府京都市右京区御室大内33
参拝時間/9:00?17:00(拝観受付は30分前まで)
拝観料/一般 800円 高校生以下無料
※御室桜の見ごろは例年4月上旬〜中旬

◆仁和寺の“よりみち”スポット/金のプリモ

奥様と作りあげた、小麦香る隠れ家。
仁和寺で圧巻の御室桜に魅せられた後は、春の香りに誘われて、京都有数のフレンチの名店「喜shin」が、2022年9月に開業したセカンドライン「オーダーメイドPasta 金のプリモ」へ。

少し照れくさそうな笑顔で、「店舗内装からクロスまで、妻の助けがなければ、オープン出来なかった。」と語るのは、プリンスホテルやグランドハイアットなど名門ホテルで総料理長などを務めてきた 料理人 樋口伸治さん。

柔らかな光が差し込む町屋を改装した店内には、本物の小麦を植えた装飾などがあり、まるで小麦畑に訪れたかのような優しい気持ちになります。


自分好みにカスタマイズできる、オーダーメイドパスタ。
数十種類の季節の具材と、ベースとなるパスタ麺、好みのソースを、自分の好みにカスタマイズできるパスタが食べられるのには驚きます。

注文後は、目の前に広がるオープンキッチンでシェフが手早く仕上げる様子も伺え、まるでパスタが繰り出すエンターテイメントのよう。

今回私がいただいたのは、魚介のペスカトーレ2000円。海老の殻からじっくりと旨みを抽出し、まるまる海老一尾入ったパスタは、その彩りの華やかさと味の深さに引き込まれます。


喜shinが監修する、絶品ランチが次々デビュー
なんと4月からは「喜shin」が監修するランチメニューが、金のプリモで味わえるようになります。「もっと気軽にフレンチを楽しんで貰うためにはどうするべきか」と長年に渡り樋口シェフが構想され、通ってくださるお客様からの要望が後押しとなって実現されたようです。

メニューはこれから段々と追加されていくようですが、淡路産のキャベツを練り込んだふわふわのハンバーグや、フレンチの技法を活かしたフライなど、どこか懐かしさと温かみを感じるメニューばかり。

大切な人とそれぞれ好みのランチを選んで、美味しさの感想を語り合うのも楽しみ方のひとつかもしれませんね。
オーダーメイドPasta 金のプリモ
住所/京都府京都市北区衣笠御所ノ内町1-2
営業時間/11:30〜18:00 (17:00オーダーストップ)
定休日/不定休
アクセス/京都市バス「金閣寺道停留所」より徒歩1分