日本代表のDF菅原由勢(AZ/オランダ)が26日、トレーニング終了後に取材に応じた。

 菅原は24日に行われたキリンチャレンジカップ2023のウルグアイ代表戦ではスタートからピッチに立った。右サイドバックとして88分までプレーした菅原は、見ている人に攻撃面での“強み”を印象付けただろう。21分に右サイド高い位置でボールを受けると、背後のスペースへスルーパスを供給して浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)のチャンスを演出。75分には再びスルーパスで伊東純也(スタッド・ランス/フランス)を走らせると、最後には西村拓真(横浜F・マリノス)の同点ゴールに繋がった。

「相手のウルグアイ自体もそこまでプレスの強度を後半に上げてきませんでした」と試合を振り返った菅原は、自身がチャンスに繋がるパスを出せた要因を「スペースが生まれていたから」と語る。「相手の状況もありますし、僕らのボールの握り方もある。90分間の中でボールを持たれる時間もあれば持つ時間もあるし、プレスに来る時間もあれば来ない時間もある。そういうところで使い分けをしていく必要があると思いますし、この前みたいに僕が前向きでボールを持てた時は強みを出せると思う」と、流れを見極めた中で自身の強みを発揮していく姿勢を強調した。「もっと『こういうボールが出せる』というのは話し合っていきたい」と、新たな右サイドバックの筆頭候補としてチームに適応していく努力も欠かさない。

 ここまでの菅原のキャリアを振り返ると、A代表での初出場から2試合目まで非常に時間が空いている。初めてピッチに立ったのは2020年10月に行われたカメルーン代表戦。それも終盤からの途中出場とわずかな時間だった。ここから、菅原は“2度”の悔しい経験をする。1度目の2021年夏に開催された東京オリンピックのメンバー落選。2度目はFIFAワールドカップカタール2022の直前、6月に開催された代表活動を負傷で辞退したことだ。「2年前に東京オリンピックのメンバーから落選して、去年はワールドカップの直前の6月にケガで(代表招集を)辞退して。個人的には2年連続で悔しい経験でした。まだ短いサッカー人生ですが、かなり大きな挫折と見れば挫折ですし、悔しい経験をしたのは間違いない」と明かしたが、それらの“悔しさ”は今現在に繋がっているのだろう。「下を向いている暇もなかったし、こういう悔しい思い、リバウンドメンタリティというか這い上がるところが大事になってくると思っていました」と、悔しさを糧に前に進んでいることを強調している。

「そのような悔しさを経験できたのも、僕のサッカー人生において財産となることに間違いはないです。『必ず戻ってきてやる』と毎日思って、日々過ごしてきたんで。でも、ここに来られたからと言って満足というのも1ミリもない。またここから定位置を、定位置自体も別にあるとは思っていないのですが、毎回の遠征、チームでの毎試合が勝負になると思うんで。あの時に2年連続で悔しい思いを経験したこと忘れずに、毎日やっていきたいなと思います」

 これまで日本代表の右サイドバックには酒井宏樹(浦和レッズ)という絶対的な存在がいた。酒井のコンディションが万全でない時には山根視来(川崎フロンターレ)が入るのが“鉄板”で、菅原はメンバー争いになかなか食い込めていなかった。「今までは僕に力がなかったから宏樹くんを脅かす存在になれなかったと思うので。すべては自分の力不足だと思っていました」と過去を振り返ったが、オランダで着々と成長を遂げた今は違う。「1回ここに入れたということは自分の価値を示すことのできるチャンスだと思っています。でも、まだまだ全然足りないんで。次の試合に向けて自分の力を見せられるようにやっていきたい」。新生森保JAPANの右サイドを掌握する存在となるため、菅原が第一歩目を踏み出した。