さまざまな遊具があり、子どもたちの貴重な遊び場として地域に根付いている公園ですが、近年では子どもにとって危険だという理由で一部の遊具が撤去されていることも伝えられています。一方、同じように一部の遊具を危険だと認識しているドイツでは、あえて危険な遊具を残すという試みがスタートしています。その理由について、The Guardianのフィリップ・オルターマン記者が解説しました。

Learning the ropes: why Germany is building risk into its playgrounds | Germany | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2021/oct/24/why-germany-is-building-risk-into-its-playgrounds



Germania: PARCHI GIOCHI RISCHIOSI per rendere CORAGGIOSI i BAMBINI. Sarebbero utili anche da noi? - Milano Città Stato

https://www.milanocittastato.it/citta-del-mondo/germania-parchi-giochi-rischiosi-per-rendere-coraggiosi-i-bambini-sarebbero-utili-anche-da-noi/

これがベルリンの郊外にそびえ立つ巨大なアスレチック「Triitopia.01」。複数のトンネルや滑り台、ネットを備えた複合型アスレチックで、その高さは7メートル近くあります。ただし、ネットを配置することで、子どもが2.26メートル以上の高さから落ちることはないような設計になっているそうです。



オルターマン氏によると、ドイツでは教育者やメーカー、都市計画者の多くが「遊び場は絶対的な安全性を追求するのではなく、たとえ骨が折れたとしても、困難な状況を切り抜けることを子どもたちに教える、挑戦的な小宇宙でなければならない」と主張しているとのこと。

「子どもたちに危険に対する備えをさせたいのであれば、子どもたちが危険と接触できるようにする必要がある」という信念のもと、こうしたアスレチックの開発・設置がドイツ各地で進められています。



2004年の研究によると、幼少期に遊び場で運動能力を高めた子どもは、年をとってから事故に遭う可能性が低いことが分かっているとのこと。若者の運動能力・危機管理能力を高めるためにあえて安全性の低い遊具を設置するということは保険会社も賛同しており、ドイツの法定傷害保険会社の統括団体は、子どもたちに「リスク管理能力」を身につけさせる遊び場を増やすよう呼びかけています。

Triitopiaを製造するBerlinerの共同ディレクター、ダヴィド・ケーラー氏は「私たちのデザインは近年、著しく高さを増しています」と話します。ケーラー氏いわく、「子どもたちは、私たちのネットに初めて登ったときに不安を感じるかもしれませんが、実はそれこそが、この構造物をより安全なものにしているのです。不安を感じているときは、余計に注意深くなるものですから」とのこと。

なお、Triitopia.01が高さ10メートルにまで拡大した「Triitopia.02」も作られています。



ドイツの遊具は、ドイツのドライバーに自動車の路上使用適格性証明書を発行する協会「TÜV」によって認証されているとのこと。そのため、遊具の安全保障はある意味自動車並みといえます。この協会は業界を規則で縛るものではなく、独自の「遊び場検査員」を育成するなどして柔軟なリスクアセスメントを行うよう指導されているとのこと。

オルターマン氏は「ドイツの目もくらむようなクライミングタワーが、イギリスやアメリカにも導入される日は近いかもしれません。将来的には、ぐらつく橋や傾いた階段、木のように高いアスレチックについて、リスクだけでなくメリットも考慮される時代が到来する可能性があります」と述べました。