【識者コラム】ドロー決着となったウルグアイ戦、日本代表を追う英記者はどう見た?

 森保一監督が率いる日本代表(FIFAランキング20位)は、3月24日に行われたキリンチャレンジカップ2023でウルグアイ代表(同16位)と対戦し、1-1で引き分けた。

 かつてアジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ(W杯)を6大会連続で取材した英国人記者のマイケル・チャーチ氏は、日本の守備陣の出来について「もう一度見たいと思わせる十分な出来だった」と振り返っている。

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 その昔、イギリスのロックバンド「ザ・フー」のロジャー・ダルトリーは『Meet the new boss, same as the old boss. (新しいボスを迎えても、古いボスと同じさ)』と歌った。ウルグアイと引き分けた日本代表は森保一監督の下で新旧の選手が組み合わされたが、ほとんど見慣れた光景だった。

 もちろんワールドカップ(W杯)前と後でこれまでと違う部分もあった。このチームは2つに分けることができるだろう。前線はカタールW杯と同じように浅野拓磨が三笘薫、鎌田大地、堂安律とともに前線を引っ張っていた。

 中盤に守田英正と吉田麻也からキャプテンを引き継いだ遠藤航が固定されていることにも驚きはない。これは森保体制で最も安定したパフォーマンスを見せている選手にふさわしい報酬と言えるだろう。

 一方でチームのうしろ半分の人選は興味をそそるものだ。森保監督が選んだのは今まで一緒にプレーしたことのない4人のディフェンダーだった。ベテランの吉田、酒井宏樹、長友佑都をメンバーから外し、古い守備陣を刷新しようとしていたのは明らかだった。

 菅原由勢は2年以上前にデビューして以来、代表でのプレーはなく、瀬古歩夢はこれが代表デビュー戦だった。しかし、この2人はなんの問題もない十分なパフォーマンスを見せていた。

 彼らと経験豊富な板倉滉と伊藤洋輝、そしてシュミット・ダニエルが日本のゴールを守った。ダルウィン・ヌニェスが不在でも日本を苦しめるのに十分な攻撃力を備えるウルグアイを相手に、日本の守備陣はよく対応していた。

 新しいバックライン、特にフルバック(サイドバック)が興味深く見えたのはボール保持の時間だった。伊藤は試合の序盤にうまく左ウイングの三笘と連係していたし、右サイドの菅原も将来有望な選手であることをしっかりと示した。2人は日本代表がボールを持った際に、セントラルMFの位置に入ってきて、そのポジションに人数と選択肢を増やしていた。

 日本の守備陣はコロンビア戦でもう一度見たいと思わせる十分な出来だったが、森保監督が変化を求めるであろうエリアはほかにあった。

 鎌田は静かで、堂安が輝きを放ったのはわずかだった。後半16分にスタッド・ランスの伊東純也が投入されると、攻撃に勢いが増した。このウインガーのダイレクトなスタイルはすべての人が好むものではないかもしれないが、ウルグアイの守備を破るのにいかに効果的なアプローチであるかを証明した。西村拓真は伊東のアシストからこの試合最初のタッチでゴールを決めた。

 サムライブルーはボールを保持する時間も多かったが、伊東が投入されるまでは決定的なパスを通す場面は少なく、ウルグアイを苦しめる場面もほとんどなかった。火曜日のコロンビア戦ではもっと楽しめる試合を期待したい。(マイケル・チャーチ/Michael Church)