神木隆之介と新海誠監督が25日、都内で行われた映画『すずめの戸締まり』プレミアム上映会に登壇。新海監督は神木を声優に起用した理由を、神木は一度断るも受諾するに至った経緯を明かした。

 本作は、九州の田舎に暮らす女子高校生・鈴芽(声:原菜乃華)が、扉を探す不思議な青年・宗像草太(声:松村北斗)と出会ったことをきっかけに、日本各地の廃虚にある災いをもたらす扉を閉めに赴く物語。

 草太の友人・芹澤朋也の声を担当した神木。新海監督は神木にオファーした事情について、「とても大事な役というのが一番大きい。映画後半の温度感を芹澤によって上げてもらいたかった」と説明。また、「見た目がホストっぽい感じで、それにマッチする声の人は他にもいるかもしれないけど、チャラさだけではない、草太を大事に思う真面目さや、人から愛される人懐っこさが声の奥底にほしかった」とも語った。さらに、『君の名は。』では主人公・瀧の声を担当した神木が出演することにより、「芹澤が大事なキャラクターだと観客とも共有できる」と声の魅力だけにとどまらない起用理由を明かした。

 一方、オファーを「最初は断った」という神木は、「見た目のキャラクターと自分の声の高さが合わない。僕より低い声を出せる方のほうがキャラクターに合うと思った」と当時の心境を告白。続けて、「(観客に)観ていただいたときに、『瀧の声が残ってるよね』『神木の声だよね』とすぐに思われると、芹澤として見られなくなるから、有り難かったけど、監督が大事と言うキャラクターでもあるから、僕じゃない方がいいと思ってお返ししました」と打ち明けた。

 しかし、新海監督は「直接話をさせてほしい」と食い下がり、電話で「瀧だとわからないような芝居を神木くんからもらえると思う」と訴えたという。その声に応じ、神木は「一番低く出せる声」「出せるけど声量が小さくなるから大きい声は無理」など、いくつか声のトーンを提案したといい、新海監督から「それで行きましょう」と言われたことからオファーを受諾。神木は「僕は不安を全部をお伝えした。そのうえで監督が(それで行くと)おっしゃった。僕はベストを尽くします。あとはどう転んでも監督がいいよって言ったんだからね」と思っていたことを明かしたが、誰も責任を負う必要がないほど、神木の声は芹澤にドはまり。エンドロールで、はじめて芹澤の声が神木だったと気づく観客が多かったことが報告された神木は「めちゃくちゃうれしかったです」と笑顔を見せた。

 この日は、新海監督が書き下ろした来場者特典「小説 すずめの戸締まり〜芹澤のものがたり〜」から、芹澤と草太の出会いのシーンを二人が演じ、ファンを喜ばせる一幕もあった。(錦怜那)

映画『すずめの戸締まり』は全国東宝系で公開中