25日、手塚治虫の代表作「鉄腕アトム」のエピソードをリメイクした話題作をアニメ化する「PLUTO」(プルートゥ)を配信するNetflixのイベント「ネトフリアニメ スペシャルステージ」が東京ビッグサイトで開催中の「AnimeJapan 2023」内で行われ、漫画家の浦沢直樹、手塚治虫の息子で監修を務めた手塚眞、アトムの声を担当する日笠陽子、ウランの声を担当する鈴木みのりが出席した。

 2003年から2009年まで「ビッグコミックオリジナル」(小学館)で連載された「PLUTO」は、「鉄腕アトム」のエピソードのひとつ「地上最大のロボット」(1964年)を、浦沢が独自の視点と解釈でリメイクした作品。

 1963年に「鉄腕アトム」がテレビ放送されてから、60年の節目に「PLUTO」が配信されることに、手塚は「アトムの最初のテレビから60年で『PLUTO』が生まれて、先日発表できたことに運命的なものを感じます。もともと『PLUTO』の漫画は2003年に浦沢さんがやろうとスタートしたのですが、そこからちょうど20年経っている。20年もずっと人気があって、しかもアニメ化されるというのは、紛れもなく本物の名作ということ。おそらく父親も大変感謝している。『俺の作品を風化させなかった、ありがとう浦沢君』と言っていると思います」と浦沢に感謝。

 その言葉に「上の方から『浦沢氏、それはちょっと描き方が違うぞ』と言ってくるんですよ」と謙遜する浦沢に「最初に(漫画の)お話があった時は、1年近くずいぶん悩みました。ですが今日のことを知っていれば、すぐにでもOKしていたと思います」と声をかけた手塚は「実は何回もアニメ化しようというお話が何回もあったのですが、おそらく1番良い形でできたのではないかと思っていますので、楽しみにしております」と自信を見せる。

 一方、アトム役の日笠は、オーディションの資料に、浦沢からの「『PLUTO』を描く時に非常に苦悩した。アニメを作る皆さんにも一緒に苦悩してほしい」という趣旨のコメントが記されていたことを明かし、「その言葉がずっと心に残っていて、受かった瞬間に浦沢さんの言う苦悩の旅に出ていくのだと思いました。ものすごい覚悟で臨ませいただいております」と意気込みをコメント。

 アトムの妹・ウラン役の鈴木も、オーディション時の資料に記された制作陣の思いに触れたことで「自分もこの作品に関われるのであれば、全身全霊を懸けて挑んでいくべきだと思いましたし、実際ウランを演じてから、元々人の痛みや感情がわかる子ですが、とはいえロボットなので人間しかわからないものもどこかにある、そのバランスを表現する際にかなり苦悩しました。悩んで悩んでキャラクターをつくっていったなという感覚があります」と告白。二人そろって、苦悩しながらやりがいのある役に全力で臨んだことを明かしていた。

 またこの日は、浦沢の描き下ろしによるティザービジュアルが公開。主人公の刑事ロボット・ゲジヒトはじめ、アトム、エプシロン、ノース2号、ブランド、ヘラクレス、モンブランら7人の世界最高水準のロボットと、その背後に巨大な影が浮かび上がるビジュアルに、浦沢は「久しぶりに描いたんですけど、案外スラスラと出てきました。キャラ立ちのある人たちなので、それぞれの演技をしてくれたなと思います」とコメント。日笠は、凛々しい表情で描かれたアトムに「アフレコの時、本当にこのアトムの目をしていたと思います。この目になるぞと思いながら演じたので、見てびっくりしました」と明かすと共に、自身とゲジヒト役の藤真秀以外のキャストが明かされていない、ロボット役の演技について「楽しみにしていてください! 本当にすごいです!」と呼びかけていた。(編集部・入倉功一)

Netflix シリーズ「PLUTO」2023年独占配信