ある調味料メーカーを取材した際、「輸出に力を入れている」という話を聞いた。醤油やみそなど調味料の輸出自体は珍しくないが、このメーカーでは商社に委託せず、社員自ら貿易実務を行う「直接貿易」に取り組んでいる。

▼ある社員が貿易実務検定A級に合格したのを契機に会社として「直接貿易チーム」を設置し、各部署からキーマンを集めた。例えば、管理本部は外貨建ての入金など決済関係、生産管理は物流、品質保証は各国のレギュレーションに対応する。

▼海外展開のシナリオを作り、5年以上の年月をかけて少しずつ輸出量を増やしていく計画。昨年は台湾に進出し代理店と取引が始まった。現在、台湾と香港へ輸出し、徐々にネットワークが広がり、取引量も増えている。

▼現状はシナリオのステップ2の段階で、核となる取引先を作り信頼関係を構築中。将来は現地に事務所を設置し、駐在員を置く構想もある。社長は「異なる部署のメンバーが集まり、チームを結成できただけでも意義がある」と話す。「何とも夢のある取り組みだ」と聞いていてワクワクした。

輸出拡大へ着々は食品新聞 WEB版(食品新聞社)で公開された投稿です。