新型「アルファード」がすでに人気!?

 世界的な半導体不足を始めとする各種パーツやユニットの供給が滞り、納期が遅延していることから、最近は新車の販売店が受注を停止するモデルが増えました。
 
 今の新車の納期は、小型/普通車になると大半の車種が6か月以上ですから、受注を続けると1年を超えて際限なく延びます。そこで受注を停止するわけです。
 
 またフルモデルチェンジやマイナーチェンジを控えている車種は、受注を停止せざるを得ません。例えば1年後にフルモデルチェンジを受ける車種の納期が1年半に延びたら、次期型を受注する必要がありますが、1年後に登場予定の新型車の概要や価格は公表できないため、仕方なく受注を停止するのです。

フルモデルチェンジが予定されているトヨタ「アルファード」

 フルモデルチェンジを控えて受注を停止している車種でもっとも注目されるのは、トヨタの高級ミニバン「アルファード」でしょう。

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 売れ筋価格帯が400万円から550万円に達する高価格車ですが、コロナ禍の影響を受けながらも、2021年には1か月平均で約8000台を登録。この販売実績はコンパクトなハイブリッド車の「アクア」を上まわり、複数のタイプを合計した「カローラシリーズ」に迫るものでした。

 アルファードの受注停止について販売店に聞いてみました。

「アルファードが受注を停止したのは、2022年6月頃です。納期が1年以上に延びて、次期型の発売時期を過ぎてしまうため、受注を止めました。

 従って既に1年近く、アルファードを販売していません。高価格車なので、販売会社にとっても不利になります」

 次期型のアルファードはどうなるのでしょうか。

「現時点では、次期型が搭載するエンジンやグレード構成などは、メーカーから聞いておりません。

 それでも最近のトヨタは、上級の『Z』、中級の『G』、ベーシックな『X』という具合に、ノーマルエンジンとハイブリッドに各3種類のグレードを用意することが多いです。新型アルファードもそうなるものと予想されますが、正確には分かりません」(トヨタの販売店スタッフ)

 なお、トヨタの販売店によると、新型アルファードではまず予約受注を開始し、その後正式に発表されるとのことですが、納車の開始や試乗車の手配については未定だといいます。また、販売は抽選になる可能性があるというのですが、それはどういうことなのでしょうか。

「生産台数が限られるため、予約受注の段階でお客さまを募り、抽選で販売する方法です。

 アルファードの場合、現時点で、新型の購入を希望しているお客さまも多く、『受注が始まったら、エアロ仕様のハイブリッドを真っ先に注文してくれ』という具合に、具体的に指定されている方もすでにおられます。

 そうなると予約受注で大量の注文が入り、正式発売時点で納期が大幅に延びたり受注を停止していることも考えられます」(トヨタの販売店スタッフ)

サブスクだったら短期で手に入るかも?

 直近では、新型「プリウス」が2022年11月に世界初公開されました。この後、早い販売会社では、12月22日には予約受注を開始していますが、受注台数が急速に増えて、正式発売された2023年1月10日には一般ユーザー向けの2リッターハイブリッド車の納期が1年近くにまで達しました。

 また、1月18日頃には「受注台数が販売会社の割り当て台数に達したため、受注を一度停止します」という話も聞かれており、新型アルファードも同様の経過を辿る可能性がありそうです。

人気すぎて納期が1年半になるといわれるトヨタ新型「プリウス」

 参考までに、新型プリウスの2023年3月中旬時点の納期を販売店に尋ねると「2リッターのZとGは1年半以上を要しており、2023年3月に契約すると納車が2025年になる可能性もあるとのこと。

 アルファードも人気車ですから、新型モデルは同じように納期が1年半以上に達することになりそうです。

 新型アルファードの納期を短縮化する対策として、グレードを少数に抑えることも考えられます。例えばレクサス新型「RX」は3種類のパワーユニットを用意していますが、グレードは4タイプしかありません。

 また新型「クラウンクロスオーバー」や新型「シエンタ」は、発売直後に特定のグレードやオプションの生産を先行させました。クラウンクロスオーバーであれば、グレード名に「アドバンスト」の付くタイプを先行生産するなど、種類を抑えることで納期が全般的に遅れるのを防ぐわけです。

 このほか定額制カーリース(サブスクリプション)のKINTOでは、納期が大幅に短縮される場合があります。新型プリウスを販売店で購入すると、前述の通り2リッターのZやGの納期は1年半以上ですが、KINTO専用の新型「プリウスU」なら1か月半から2か月で納車できます。

 同様に新型アルファードも、納期を抑えたいならKINTOを利用する方法が考えられますが、リースですから返却が前提で所有権は手に入りません。つまりKINTOは誰にでも使えるサービスではないため、納期の格差が広がると、購入したいユーザーとの間に不公平感が生じます。

 重要なのは公平性ですから、装備を厳選した納期の短いグレードと、時間が掛かっても気に入った仕様を手に入れたいユーザー向けのグレードを区分する方法があります。つまり、納期を基準にしたグレード展開を図るわけです。

 そしてトヨタがKINTOの納期を短く抑えたいなら、新型アルファードの購入契約者を対象に、納車を待つ間だけ使う割安なコースを用意する方法もあるでしょう。

 例えば、欲しいグレード・仕様の納期が1年半であれば、その期間だけ、KINTOを使って新型アルファードに乗るわけです。このようなシステムを導入すれば、KINTOの納期の短さを購入するユーザーにも還元できて不公平感も薄れます。

 メーカーからは「今後半導体などの供給不足は解消される方向に向かうでしょう」という話が聞かれますが、販売店では「受注が膨大にあるため、仮に生産状況が元に戻っても、暫くはお待たせしているお客さまの納車が続きます」と言います。

 つまり今後も納期の遅延が続くことになり、公平性を損なわないように配慮しながら、納期遅延の対策を打ち出す必要があるでしょう。