3月24日に行なわれる第2次森保ジャパンの初陣・ウルグアイ戦が迫ってきた。22日には合流が遅れていた三笘薫(ブライトン)や堂安律(フライブルク)らが合流。新型コロナウイルス検査で陰性が確認できなかった久保建英(レアル・ソシエダ)を除く25人が、千葉・幕張の高円宮記念JFA夢フィールドでトレーニングを実施した。

 この日はランニングとフィジカル強化以外は、複数グループに分かれて練習が進んだ。初日から参加している遠藤航(シュツットガルト)らフィールド13人はパス&コントロール、シュート練習などフルメニューを消化。合流間もない8人はクールダウンに努め、リハビリ中の前田大然(セルティック)は完全別メニュー調整となった。

 シュミット・ダニエル(シント=トロイデン)らGK3人も精力的に汗を流す。集まったサポーターや子どもたちから絶好調の三笘に熱い声援が次々と投げかけられるなど、いよいよ本番ムードが高まってきた印象だ。

 こうしたなか、試合に向けて気になる1つのテーマが、2列目アタッカー陣の使い方だ。 昨年のカタール・ワールドカップ(W杯)では鎌田大地(フランクフルト)、久保、伊東純也(スタッド・ドゥ・ランス)の3人が基本的にスタメンで、三笘、堂安はジョーカーに位置付けられた。

 が、今は全員が横一線。新戦力の中村敬斗(LASKリンツ)、所属クラブでは左サイドで起用されている前田も含めて、ゼロからのサバイバルが始まると考えていいだろう。
 
 4バックの時は攻撃的MFが3枚、3バックだと2シャドーと両ウイングバックという構成になるため、使えるアタッカーの人数が変わってくる。

 前者の場合、最近の所属先での活躍度を踏まえると、右から伊東、久保、三笘という並びがファーストチョイスと見てよさそうだ。

 トップ下要員には鎌田もいるが、新たな代表ではボランチに下がる可能性もある。ただ、久保のコロナ陰性が確認できなければウルグアイ戦出場回避という判断になるだろうから、初陣はこれまで通り、鎌田のトップ下が有力となるはずだ。

 その一方、Jリーグで圧倒的走力と推進力を示している西村拓真(横浜)という異なる特性を持つ選手もいるし、最近のリーグ戦で2試合連発の堂安も新たな選択肢になり得る。

 堂安自身は「今まで代表でやってきた右サイドハーフで勝負したい」と語ったが、「この1年くらいでトップ下も自分のポジションだと考え始めた」と最近上梓した著書で心境の変化を明かしている。となれば、新たな位置で伊東や三笘との共存にトライするのもありだろう。

【PHOTO】三笘薫や鎌田大地らが合流!ウルグアイ戦へ向けトレーニングを開始した日本代表を激写!!
 堂安を先発トップ下に据えるとなれば、久保や鎌田がジョーカーに回る形になるが、彼らが途中から出てどういう働きをするかも、1つのチェックポイント。カタールW杯とは逆パターンになるが、それも確認しておいたほうが今後のプラスになる。

 左サイドに関しても、三笘を先発要員にするなら、中村や前田が流れを変える仕事ができるかどうかを確かめるべきだ。過去にない配置や選手起用にトライすることで、日本代表の戦い方の幅は確実に広がる。森保一監督には積極的なチャレンジを見せてほしい。

 もう1つの3バックに目を向けると、右ウイングバックに伊東、左ウイングバックに三笘、2シャドーに堂安と久保を配置するのが現時点で最も攻撃的な組み合わせと見ていい。とはいえ、カタールW杯でもこれだけアグレッシブな陣容はビハインドを背負っていたり、絶対に点を取らなければいけない状況の時だけだった。

 となると、やはり最初は左右のサイドのいずれかにSBをこなせる守備的要員を入れるのが現実的。三笘が先発ならば右は菅原由勢(AZ)や橋岡大樹(シント=トロイデン)になるだろうし、伊東が先発なら左は伊藤洋輝(シュツットガルト)やバングーナガンデ佳史扶(FC東京)が入ってバランスを取るのが無難だ。
 
 残された2シャドーのポジションは多くのアタッカーが競い合うことになる。堂安や久保だけでなく、鎌田や西村もいるし、伊東や中村もインサイドでのプレーが可能だ。1トップ候補の上田綺世(サークル・ブルージュ)も所属クラブでは左シャドーに入っている。指揮官も最適解探しに悩むかもしれない。

 ただし、今回のウルグアイという強敵を視野に入れると、前線からのハードワークができる人材がベター。守備強度の高い堂安と鎌田、伊東あたりを並べるのがよさそうだ。

 果たして指揮官はどのようなチョイスをするのか。いずれにせよ、既成概念に囚われることなく、より幅広い戦い方を持てるような斬新な組み合わせや連係に挑んでほしいもの。3年後に向けての大きな一歩を期待したい。

取材・文●元川悦子(フリーライター)