この記事をまとめると

■トヨタから5代目となる新型プリウスが登場

■スタイリッシュなデザインの採用などにより注目を集めている

■今回は新型プリウスにまつわるトリビアを紹介

サンルーフありなしの頭上空間は同じ!

 5代目となる新型プリウスの注目度がハンパない。まるでスポーティーカーのようなCd値0.27のエクステリアデザイン、最新の第二世代TNGAプラットフォーム、2リッターエンジンを基本とする第五世代ハイブリッドシステム(先代熟成型の1.8リッターハイブリッドシステムもある)、これまたスポーティーカー並みの動力性能、パフォーマンス、最先端の先進運転支援機能の搭載など、注目点だらけの新型である。

 ここでは、すでに2リッターハイブリッドのZ、サブスクのKINTO専用車となる1.8リッターハイブリッドのUグレード、そしてクローズドコースのみではあるものの、その圧巻のパフォーマンスを体験した新PHEVモデルに試乗済みの筆者が新型プリウスのトリビア(雑学)を取り上げることにしたい。

 まず、パッケージ面でのトリビアから。新型プリウスはそのスポーティーカーのような流麗なデザイン最優先(空力ではないとのこと)のスタイリングから、先代以前に比べ、室内はスポーティーカーばりの空間となった。具体的には、先代が室内長2100×室内幅1490×室内高1195mmのところ、新型は室内長1840×室内幅1500×室内高1130mmとなっている。全長で60mm、ホイールベースで50mm延長しているのに室内長が減っているのは、もちろん、素晴らしきエクステリアデザインのためと考えるのが妥当だろう。

 で、本題はここから。身長172cmの筆者のドライビングポジション基準(前席シートハイトコントロールは最下端)で、先代は前席頭上に190mm、後席頭上に110mm、後席膝まわり空間に230mm。前後席ともにこのクラスの空力優先のハイブリッド専用車としては、なかなか余裕ある居住空間があった。

 新型はと言うと、想像どおり、前席頭上に150mm、後席頭上に90mm、後席膝まわり空間に210mmと、先代に対して居住空間が狭くなっていることがわかる。しかも、後席に座るとルーフ内張パネルがルーフサイドまで回り込んでいるのと、ルーフ内張の中央部分が、ルーフの構造材が走っているため出っ張っているために、実際の数値よりも狭く感じてしまうのである。また、フロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差も先代の優秀と言っていい340mmから305mmに大きく減少。ヒール段差は着座性、立ち上がり性、そして着座姿勢に大きくかかわる部分であり、少なくとも後席の居住性に関しては(先代同様にエアコン吹き出し口はない)、先代より後退していると言わざるを得ない。とはいえ、新型プリウスにはそれに余りあるデザイン性や性能、装備などがもたらされていることは言うまでもない。

 じつは、ここまではトリビアではない(すいません、引っ張って……)。筆者がまずトリビアに認定したのは、サンルーフ付きとサンルーフなしの車両での前後席頭上空間について。結論から言えば、一般的にはサンルーフ付きだと頭上空間が狭く(室内高が低く)なることが多いのだが、新型プリウスではサンルーフのあり、なしで、頭上空間の数値はまったく同じ前席150mm、後席90mm(筆者の計測)なのである。これは、乗員の頭上空間を避けたサンルーフの配置によるものだという。サンルーフ好きの人で、しかし頭上空間が狭くなるので避けて通ってきた人も、だったら新型プリウスはサンルーフ付きで注文しょう……となるかも知れないが、ちょっと待て!! である。

グレードによってドライブモードのスイッチが異なる

 トリビアその2として説明するのは、サンルーフ付きプリウスの車内の静粛性について。筆者は新型プリウスZグレードのサンルーフ付きとサンルーフなしの車両に試乗している。で、試乗前の説明で、開発陣からいくつか新型の進化についてのお話を伺ったのだが、最後に静粛性の向上が挙げられた。遮音、防音性のUPであり、とくに先代のウィークポイントだったロードノイズの遮断にはとくに力を入れたそうだ。

 ところが、試乗1台目のZグレードのFFを公道で走らせると、荒れた路面では車内のザワザワしたノイズがけっこう気になったのだ。新型プリウスはEV走行をする機会も多く、パワーユニットからのノイズは、ハイブリッドシステムからの音はともかくとして、ないに等しいはず。ゆえに、エンジンがかかっていない状態だとロードノイズがことさら目立ってしまうのだが、とにかく、アレレ……というぐらい、車内にザワついたノイズが発生していたのである。が、次に乗ったZグレードの4WDだとそうしたザワザワしたノイズがほとんど感じられない。初期モデルの個体差なのか、FFとそれより総重量で60kg重く、リヤモーター部分で33kg重い4WDシステムが、乗り心地を含め(よりマイルドで重厚、上質になる)いい方向に作用しているのか?

 その印象を開発陣に投げかけてみると、「それもあるにはありますが、むしろサンルーフの有無が原因かも知れません」という答え。ロードノイズが車体を通して下から上に回り込み、最終的にサンルーフから入ってくることを否定できないという。よって、サンルーフを希望する人は、同駆動方式のサンルーフあり、なしの両車両を試乗することをお薦めしたい。そこでサンルーフ付きでもザワついたノイズが気にならなければ問題ない。サンルーフ付き車両のザワザワ感が、今回の試乗車だけの症状であることもまた、否定できないからである。※今後、別車両のZグレード、FF、サンルーフ付きで確認予定。

 トリビア3は、ドライブモードについて。通常販売されるZ、Gグレードは、エコ/ノーマル/スポ―ツ/カスタムの4モード。一方、サブスクのUグレードはエコ/ノーマル/パワーの3モードとなる。そのぐらいはカタログを見ればわかるのだが、大きな違いはまず、スイッチ。Z、Gグレードはシフターの手前にあり、しかしスイッチが小さく、パネルから頭を出していないフラット設計。筆者の指先はそれほど太くないのだが、操作しやすいとは言い難かった。寒冷地で手袋をしていたら、操作は難しいかも知れない。

 で、Uグレードはと言えば、プッシュボタン式。操作性ではこちらのほうがはるかにいいのである。

 ただし、Z、Gグレードのスポーツモードは、Uグレードのパワーモードにないステアリング制御が加わり、パワーステアリングの重さが増し、スポーティな走りに応えてくれる。

 今回の新型プリウスのトリビアPART.1はここまで。PART.2では、サブスクのKINTO専用車の意外な成り立ち、ハイブリッド車とPHEVの違い、新旧PHEV(PHV)の違い、ラゲッジスペースなどについてのトリビアを紹介したい。