インターネット上に出回っているソフトウェアの中にはオープンソースで開発されているものも多く、それぞれのソフトウェアには開発者が定めたライセンスが適用されています。ライセンスの中には「このソフトウェアを組み込んだソフトウェアにも同一ライセンスの適用を求める」という条項を含むものも存在しているのですが、「Voice.ai」と名付けられたAIボイスチェンジャーがライセンス違反の状態で配布されていたことがソフトウェア開発者のundeleted氏によって報告されています。

Voice.AI: GPL Violations with a Side of DRM | Undeleted Files

https://undeleted.ronsor.com/voice.ai-gpl-violations-with-a-side-of-drm/

Voice.aiはAIの力を利用したリアルアイムボイスチェンジャーで、オフラインで動作することを大きな特徴としています。AIボイスチェンジャーに興味を持っていたundeleted氏はオフラインで動作するVoice.aiに魅力を感じてインストールしたとのこと。



Voice.aiをインストールしたundeleted氏は、ソフトウェア開発者としての興味からVoice.aiのインストールフォルダをチェックしました。その結果、オープンソースソフトウェアの「Praat」が組み込まれていることが明らかになりました。Praatには「入手や使用、改変、再配布を認め、当該ソフトウェアを組み込んだソフトウェアにも同一ライセンスの適用を求める」という内容の条項を含むライセンス「GPLv3」が適用されています。

上記の通り、Voice.aiはGPLv3が適用されたソフトウェアを組み込んで開発されているため、Voice.aiも同様にGPLv3を適用して改変や再配布を認める必要があります。しかし、Voice.aiの利用規約(アーカイブ)には「第三者へのコピーの配布や販売を禁じる」「ソフトウェアの再利用や逆アセンブル、逆コンパイル、リバースエンジニアリングを禁じる」といった項目が存在しており、GPLv3に違反する状態となっていました。



undeleted氏はVoice.aiの公式Discordサーバーに参加してライセンス問題について報告したとのこと。その結果、サポートセンターにメールで連絡することを求められたため、undeleted氏は指示通りにメールを送信しました。ところが、数日待っても返信は返ってこず、それどころかundeleted氏はDiscordサーバーを追放されてしまいました。



その後、undeleted氏はニュース共有サイト「Hacker News」でVoice.aiのライセンス問題を報告し、報告には190件以上のコメントが寄せられました。その結果、Voice.aiはひっそりとライセンスを更新したものの、依然としてGPLv3に違反する状態は続いているとのことです。