欧州サッカー連盟(UEFA)の元主任捜査官のイヴ・ルテルム氏が、多数の財務規則違反の疑いが浮上しているマンチェスター・Cについて言及した。7日、イギリス紙『デイリーメール』が伝えている。

 UEFAは2020年2月、マンチェスター・Cが2012年から2016年にかけて提出した損益報告書で「ファイナンシャル・フェアプレー(FFP)規則に違反していた」ことを発表。同クラブに「2020−21、2021−22シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)などUEFA主催大会への参加禁止」と「3000万ユーロ(約35億7000万円)の罰金」処分を科した。

 しかし、この裁定に不服のマンチェスター・Cはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に控訴すると、CASはUEFAの訴えを棄却。調査に非協力だったとしてマンチェスター・Cに、UEFAに対し1000万ユーロ(当時約12億円)の支払いのみを命じた。

 それでも、今月6日に今度はプレミアリーグがマンチェスター・Cに「多数の財務規則違反の疑い」があると発表。2009年9月から2017−18シーズンにかけて9年間にわたって100件以上の財務規則違反の疑いで告発し、有罪となった場合には勝ち点の減点やリーグからの追放の可能性も浮上している。

 なお、マンチェスター・Cは「この発表に驚いており、完全に解決されることを期待している」との声明を発表しているものの、プレミアリーグの告発はCASの管轄下にないため、UEFAの処分の時のようにCASに控訴することはできず。代わりに独立した委員会が、2018年に始まったプレミアリーグの捜査に同クラブが協力しなかったこととあわせて、財務規則違反の疑いについて適切な裁定を下すことになるようだ。

 プレミアリーグがUEFAの処分よりも強力な告発をしたことを受け、ルテルム氏はベルギーメディア『Sporza』で「それ(上訴できない)ならば、この事件はより強力なものになるだろう。そして、告発の範囲が時間的にも内容的にもUEFAよりも広範囲になっているというもう一つの要素もある」とコメントしつつ、マンチェスター・Cは有罪になると確信していることを明かした。

「特にプレミアリーグには私たちが順守しなければならない厳格な制限期間がない。私たちは5年間だけだったから、重要な要素を加えることができなかった。財務情報の透明性は完全に欠如していた。一連の弁護士らとともに、彼らは私たちの監査人の仕事に対抗するためにあらゆることをした」

「加えて、スポンサーから支払われたというお金が実際にはオーナーから支払われていたことも判明していた。それに契約をめぐる曖昧さもあった。電子メールと銀行の明細書のおかげで、確固たる証拠も掴んでいた。私はマンチェスター・Cが不正を犯したと確信している」

「しかし、問題はUEFAの裁定が仲裁委員会(CAS)で争われる可能性があることだった。これは実際の司法には該当しない。これらの仲裁人は常に同じ10人から12人の中から選ばれ、刑が重すぎると考えるため、刑が減らされてしまうんだ」