PA・SAでの車中泊はアリ?ナシ?

 昨今、日本でもその需要が増加しているキャンピングカーをはじめとする車中泊が可能なクルマ。自動車メーカーも車中泊可能な車両やオプションを提供するなど、人気が高まっている様子がうかがえます。

 それにともなって、最近では高速道路のPA・SA(パーキングエリアサービスエリア)などで車中泊をおこなう人が増えているようにみえますが、本来PA・SAは、ドライバーの“休憩所”であり、車中泊をする施設ではありません。

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 果たして、PA・SAで車中泊をするという行為は、どのような扱いになっているのでしょうか? 今回はNEXCO東日本にお話をうかがいました。

最近の長期連休中のPA・SAは深夜でも大混雑

 キャンピングカーの普及を目的に活動している団体「日本キャンピングカー協会」によれば、キャンピングカーの国内保有台数は2016年に10万台を突破。2021年は前年から約8600台増加し、13万6000台を記録しています。

 また、2022年の国内キャンピングカー販売売上合計額は、過去最高の635.4億円に到達。2011年時点での売上は約211億円なので、過去10年間で約3倍に増加したことになります。

 さらに、昨今では自動車メーカーからもオプションとして車中泊可能なキットなどが用意されたり、クルマを紹介するパンフレットやCMなどで車中泊をしているシーンが紹介されるなど、車中泊需要の高まりを感じることができます。

 近年所有より体験を重視する社会になってきたといわれる日本。ウィズコロナが叫ばれることもあり、密を避ける車中泊の需要はまだまだ伸びていくかもしれません。

 そんなキャンピングカーなど車中泊が可能なクルマの普及に合わせ、PA・SAでの車中泊事例が増えているようです。SNSを見てみると、実際に車中泊をおこなったという体験談がいくつも上がっていました。

 また、年末・年始など長期連休中のPA・SAでは、深夜にも関わらず駐車場は大混雑で、ポップアップルーフテントを展開したクルマやキャンピングカーが何台も停車していたのを筆者(鈴木伊玖馬)も確認しています。

 一方、2022年の鈴鹿PA内では、車中泊のできるスポット「RVステーション鈴鹿PA」が期間限定で設けられました。当初は2022年11月27日に終了する予定でしたが、好評につき、2023年8月末まで延長されています。

 このように需要の高まる高速道路での車中泊。一方でPA・SAは本来ドライバーが休憩をする場所であり宿泊をする施設では無いように思えます。この点について、NEXCO東日本の担当者は、次のようにコメントしています。

「PA・SAは高速道路を利用されるお客さまの休憩などを目的とした施設です。

 従って、休憩のための仮眠はしていただいて構いません。しかし、休憩の範囲を超えるような長時間の駐車はご遠慮いただきたいと考えています。一方、車中泊と長時間の休憩は線引きが難しいため、件数のカウントなどはしておりません」

 さらにPA・SAなどで、車中泊についてのイベントを予定していないかと聞いてみたところ「鈴鹿のようなイベントは現状予定しておりません」とのことでした。

 やはりPA・SAでの車中泊は本来想定してはいないとのことですが、一方で長めの休憩と車中泊の見極めがなかなか難しいという事情もあるようです。

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 鈴鹿PAの例を見ても、高速道路での車中泊は需要が少なくないようです。しかし長時間の駐車を伴う車中泊について、施設側は決して推奨していないという事実は理解すべきでしょう。

クルマで長時間の宿泊をおこなう場合は、車中泊が認められているRVパークやオートキャンプ場といった専用のスペースで楽しみたいところです。