中国のグルメ系インフルエンサーの女性が昨年、絶滅危惧種のホオジロザメを調理して美味しそうに頬張る動画をSNSに投稿した。しかし警察の捜査が入り、最近になって多額の罰金が科されたという。米メディア『New York Post』などが伝えている。

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中国版TikTokの「抖音(ドウイン)」でアカウント名「提子(ティーズー)」というグルメ系インフルエンサーの女性が昨年7月14日、サメを調理して食べる動画を投稿した。動画は四川省南充市で撮影されたとみられており、そこには体長2メートルの死んだサメが横たわっている。ティーズーさんはこのサメを切り分けて、次々と調理していった。

サメをあぶったり煮たりする場面が映り、最後にティーズーさんは香辛料のたっぷりかかったサメのバーベキュー料理にかぶりついていた。この動画は注目を集めたものの「名声欲しさのためにサメを食べた」と多くの人に非難されたことから、ティーズーさんはのちに投稿を削除した。しかし動画は多くの人によって拡散されてしまったのだ。

その後、視聴者から「これは絶滅危惧種のホオジロザメではないか?」といった声があがり、南充警察が介入することになった。そして同警察が彼女の食べ残したサメのDNAを調べたところ、まさにホオジロザメだったことが判明したのだ。ティーズーさんは当時、動画の中で「サメは養殖された食用のもので、南充市内の市場で購入した」と主張していた。

しかし海洋生物の専門家によると、ホオジロザメは生殖可能な状態に成長するまでおおよそ二、三十年かかるという。そのためティーズーさんの主張は真実味に欠けていると指摘した。その後、同警察の調べにより、サメは南充市内の市場ではなく、福建省の海鮮市場から中国のオンラインショッピングモール「淘宝(タオバオ)」経由で7700元(約14万7000円)で購入したことが明らかになった。

またティーズーさんは動画撮影当時、オンラインで購入したサメをあたかも南充市の市場で購入したかのように演出していたという。これに地元メディアは「絶滅の危機に瀕している野生動物の狩猟と取引を厳しく取り締まり、犯罪の連鎖を断ち切らなければならない」とティーズーさんの行動を非難し、ネットユーザーからも批判の声が多数あがっていた。

そして今年1月28日、南充市市場監督管理局が「中国の野生動物保護法に違反したとして、ティーズーさんに12万5000元(約240万円)の罰金を科した」と発表した。またカナダの中国語ニュースメディア『星島日報』によると、今回の件でホオジロザメを違法に販売した漁師2人が逮捕されたという。

画像は『New York Post 2023年1月30日付「Food blogger fined $18.5K for grilling and eating great white shark」(TikTok(Douyin))』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)