その光景との出会いは偶然だった。2023年1月25日、石川・金沢駅東口を歩いていたJタウンネット記者は奇妙な物体を見かけた。

金沢駅東口を出て1分ほど歩いた場所で、積もった雪の中から取っ手のような輪っかと注ぎ口のようなものが生えていたのだ。

これはいったい何なのか。東京に戻ってから調べてみると、これが見つかった。

謎の物体の正体は「巨大なやかん」だったのだ。......いや、なんで? 何のためにやかんを金沢駅前に?

気になったJタウンネット記者は2月2日、金沢市道路管理課の職員に「やかん」の存在理由を聞いてみた。

「明日はやかん集合で!」

職員によると、金沢駅東口にあるのやかんのオブジェには「やかん体、転倒する。」というタイトルが付けられている。

2006年に金沢市が行った「金沢・まちなか彫刻作品・国際コンペティション2006」で最優秀作品を獲得した、鋳物作家・三枝一将さんによる作品だ。

お茶の間で使われるやかんが街中に登場するという面白さを狙った作品なのだとか。確かにターミナル駅のすぐ近くにやかんがある光景は面白いし、かなり興味をひかれた。

そんな「やかん体、転倒する。」は待ち合わせスポットとしても利用されることも。

「金沢フォーラスという商業施設の前にあるのでそこに行く人から待ち合わせで使われることがあります。私も『やかん集合で』って言ったことが過去にあったような......」(道路管理課の職員)

金沢駅東口での待ち合わせは「やかん前」で――。大きな鼓門で会おうとするより、待ち人を見つけやすいかもしれない。