三笘薫がFAカップ4回戦、リバプール戦で後半アディショナルタイムに決めたゴールが大きな話題になっています。劇的な決勝点だったということ以外に、ゴールの奪い方が素晴らしかったからです。

左サイドからのクロスを三笘は右足のアウトサイドで柔らかく前に落としました。浮いているボールに対して相手選手が詰めてくるところを、柔らかなタッチとキックフェイントでかわします。そして浮いたままのボールをすぐに力強く蹴り込み、値千金のゴールを決めたのです。

もしボールが地面の上にあるのなら、どこにボールを置いてどうプレーするのかある程度分かります。ですが空中にあるボールに対して、1人目の選手が突っ込んできて、さらにその後ろに2人の選手とGKがカバーしている、時間もスペースもない中でシュートまで決めたのは、どんなに称賛しても足りないでしょう。

この場面で三笘は「トラップ」「浮かしてかわす」「シュート」と3タッチしているのですが、この2タッチ目は特筆すべきです。普通だったらこんなに繊細なコントロールにならず、左足のところまでボールが流れたり、振りかぶるような場所に置いてしまいます。

もしそのようなタッチになってしまっていたらシュートは防がれていたでしょう。その難しい場面で「浮いた」ボールをコンパクトにシュートを振り抜けるところに置ける技術の高さが出ています。

この試合では他にも三笘のテクニックが発揮された場面がありました。三笘は左サイドから右足のアウトで絶妙なラストパスを送り、味方のシュートが相手GKに阻まれたものの、決まっていれば完璧なアシストというべきプレーも見せていました。

しかもこれがイングランドのカップ戦で、相手が前年度チャンピオンのリバプールなのです。三笘の活躍は見事です。そしてこのゴールは、いろいろなリーグの中でもなかなか類を見ないスーパーゴール、まさに「ゴラッソ」という他ありません。