今やSNSは情報発信に欠かせないツールです。会社でSNSを活用したいものの、どうすればよいかわからない経営者も多いのではないでしょうか。本連載では一般社団法人大人のインフルエンサー協会の代表理事を務める秋山剛氏が、著書『ゼロから集客できる社長のSNS発信』から、経営者がSNSを活用するコツについて解説します。
表現することが不得意な人ほど、可能性がある
まったく自分を出すことができなかった少年期
ありがたいことにTikTokをはじめたことで、わたしのことを知っていただける方々が増えました。
よく、「秋山さんは『リア充』だったのでは?」と誤解されることも多いのですが、じつはまったく違います。小学生から中学生の、まさに思春期の頃、わたしはまったく自分を出すことができませんでした。
女子に告白をしたこともありません。まわりから「あいつはこんなものだ」と見られるのがイヤだったのです。「告白してフラれたら、馬鹿にされる」と、人の評価を気にしていました。負けて弱く見られるのがイヤで、友人とケンカをすることもありませんでした。他人から見下されることを、とても恐れていたのです。
一方で、「もっと自分には可能性があるのではないか」という思いも抱えながら、過ごしていました。
ダンスが上手だったりヤンチャだったりする人たちが女子にモテているのを見て、「どうしてこの人は魅力的なのかな?」「どうして人と仲良くなれるのかな?」といったことを、いろいろと考えていた記憶があります。
ボクシングを習ったのは、強くありたいと思ったからです。
結婚後、妻や親に支えられる日々
そして、理想的な女の子(いまの妻です)とお付き合いすることになったのですが、17歳のときに子どもができたことをきっかけに、高校を中退して結婚しました。
家族を養うためにハローワークで仕事を探し、職人の仕事に就きました。その頃は、1日中誰とも話をしない日もありました。大人の環境のなかで、自分が何を話していいかわからなかったのです。
自分に自信が持てず、仕事が終わった頃には疲れ果てていました。そんな自分がとてもイヤになり、中途半端に習っていたボクシングにも真剣に取り組んで、自分を確立しようと必死でした。ボクシングに取り組むことで、仕事場で表現できないストレスを発散し、バランスをとっていたのだと思います。
17歳から23歳の頃は、仕事から帰ってすぐにジムへ行き、22時くらいまで練習をしていました。
いま思えば、ボクシングで充実感を覚えられる時間があったから、まわりの友人が学生生活を謳歌しているのを横目で見ながらも、自分なりの生き方ができていたのかもしれません。
妻や親がとても応援してくれていたから、実現できたことでもあります。親は孫を本当にかわいがってくれて、わたしたち夫婦の時間もつくってくれました。これは本当にありがたいことでした。
社長になってから、社会人の学びを知った
その後会社を立ち上げて社長になったのですが、わたしは相変わらず、人前では頭が真っ白になって、話もできない状態でした。
それではいけないと思い、話し方教室に通いました。まったく話せないことで、社員や家族に対して恥をかくのはイヤだったので、学ぶ場所で恥をかくようにしたのです。
また、新入社員教育をするどころか、電話の出方もわからなかったので、自分で新入社員向けの研修を受けに行ったこともあります。
結婚相談所をはじめた頃、20代前半の人たちのなかに、30代のわたしが入っていったのです。微妙な居心地を感じながら、社会人がどう学んでいくのかをはじめて理解することができました。
そのときに学んだのは、「知らないから、不安を感じる」ということです。実際に体験すればできるようになる。それが勇気になり、そして人に教えられるようになると思えたのです。
出たがらない社長が前に出ることに意義がある
経営者にもいろいろなタイプの人がいるでしょう。もともと前に出たくて仕方のない人もいれば、わたしのように出たがらない人もいます。でも、出たがらない人が前に出ることには、大きな意義があるのではないかとわたしは考えています。
これはあくまでも私見ですが、中身のある人は、ご自身が前に出ようと思わない傾向があるようにも感じています。本当は自分を表現したほうがいい人ほど、積極的に前に出ないところがあるのではないでしょうか。
自分が出てしまっていいのだろうかと躊躇したり、口下手で、前に出て何かをするのは得意ではない、と自覚している社長はたくさんいます。
でも、それは思い込みかもしれません。かつてのわたしは、信じられないほど自己表現が苦手だったにもかかわらず、いまでは表現することを職業にしています。
自分を出すのが苦手だったわたしが、いまでは自分のすべてをさらけ出すような仕事をしているのは、不思議なことです。だからこそ、そこに価値があるのではないかな、と感じている面もあります。
「わたしは人前で表現するのは得意ではない」と思っている人ほど、可能性があるのかもしれませんよ。自分の話をしてしまいましたが、わたしのエピソードを知って、「自分にもできるかも」と励みにしていただければうれしく思います。
外部リンク幻冬舎ゴールドオンライン