前回からの続き。ママ友に立て替えた11円を月日が経っても返してもらえず、モヤモヤを募らせる投稿者さん。たかが11円とはいえ、相手がすっかり忘れている様子に不信感が芽生えてきたようです。それを読んだママスタコミュニティに集まったママたちからは「11円ならあげたものと思って忘れた方がいい」「きちんと返金を請求できる相手にしか、立て替えてはいけない」などといった厳しいコメントが続きます。

ここで話は決着を迎えるかと思いきや……? じつは11円を貸した相手との後日談があったのです。

『貸した次の日に、ママ友がバームクーヘンの詰め合わせを持ってきました。それが11円のお返しだったのかな? と思ったり……。よく分かりません』


なんと! 11円を貸したママ友は、翌日投稿者さんにバームクーヘンの詰め合わせを持ってきていたのだそう。この話にママたちのコメントは賛否に別れます。

バームクーヘンは「お礼」の形

 『バウムクーヘンの詰め合わせ? 11円のお礼なのかもね。十数円の返金は申し訳ないと思ったとか?』


『なんて言われて渡されたの? たぶん立て替えのお礼だと思うから、私ならそれでチャラにする。放置ならモヤモヤするけど、お菓子持ってきてくれた人なら気遣いはあるし』


『どう考えてもバウムクーヘンが11円のお礼でしょ。11円なんて取り立てる方も律儀に返す方も融通の利かない人だと思って持ってきたんでしょ。間違いなく11円以上の価値があるものを持ってきたわけよ』


ママ友が持ってきてくれたバームクーヘンは、前日に借りた11円のお礼なのでは? とママたちは言います。11円という細かいお金で返すのではなく、「お礼」の気持ちを上乗せして、わざわざバームクーヘンを買って返してくれたという、ママ友なりの気遣いだと推測します。しかし投稿者さんはバームクーヘンに何の意味があるか分かっていません。おそらくママ友からは「11円のお礼です」というハッキリとした言葉はなかったのでしょう。

『投稿者さんがバームクーヘンを11円の代わりだと思って受け取ってないなら、バームクーヘンをもらったお返しをしないとじゃない? 相手もバームクーヘンの返礼がないと思ってモヤモヤしてるかもよ』


ここまでくると、頓智(とんち)話のようです(笑)。

「お金」を借りたのなら「お金」で返すのが常識

一方でこんな意見もあります。

『バームクーヘンは11円の代わりって考え方は非常識だと思う。物でもらって物で返すなら分かるけど、借りたお金はきちんと返すべき。お祝い金やお年玉ではないんだから』


『手間かけてごめんねって意味でのバームクーヘンだと思った。お金を借りておいて物で返してくるなんて、とっても非常識じゃない?』


前述とは反対に、ママ友の行動は非常識だと主張するママたちもいました。「お金」を借りたのであれば、まずは「お金」でキッチリ清算するべきだというコメントは、ごもっともです。バームクーヘンの詰め合わせが11円以上の価値があるものだったとしても、それを決めるのは投稿者さんです。バームクーヘンの詰め合わせをもらっても、投稿者さんがいつまでもモヤモヤしてしているのであれば、やっぱりバームクーヘンではなく「11円」で返すべきだったのでしょう。

あと一歩の気遣いがあっても良かったのかも

『私がママ友の立場だったら、11円を覚えていたとしてもそれだけ返すのもなぁ……と思うから、次に会ったときにお茶かコーヒーのペットボトル1本おごる』


『バームクーヘンは「お手数かけてごめんね」のバームクーヘン。私なら11円も一緒に渡す。バームクーヘン渡したら11円渡さなくていいってことでもないと思う』


感謝の気持ちの示し方はいろいろあるでしょう。しかし大切なのは「11円を貸してくれてありがとう」という気持ちが、相手に伝わることです。ママ友としては「11円のお礼」としてバームクーヘンを渡したのかもしれませんが、投稿者さんに伝わっていなければ意味がありません。投稿者さんが11円の返金を望んでいる以上、ママ友のせっかくの気遣いも、相手に伝わらずのままなのです。 バームクーヘンを渡したうえで11円も一緒に渡せばベストだったのかもしれませんが、せめて「これが11円の代わり」だという意思が伝わる一言も添えた方が良かったかもしれませんね。

『バウムクーヘンが問題をややこしくしたよね。これがなかったら、投稿者さんもスッと返金請求できたのに』


たしかにそうかもしれません。もしバームクーヘンの詰め合わせがなかったら、投稿者さんもママ友に「11円返して」と言えたとも考えられます。

『11円が金額の問題ではないのは分かる。残念な気持ちになるよね。でももう「この人はそういう人なんだな」と思って諦めよう』


投稿者さんはきっと、キチンとした性格なのでしょう。だからこそママ友に貸した11円がいつまでも気になってしまうのです。しかし相手にハッキリと伝えない限りは立て替えた11円は返ってきません。そうであればもう11円のことは忘れて、ママ友に対して「自分とは価値感が違う」と線引きして付き合えばいいのです。ここは「諦める」という言葉が一番しっくりくる結末といえるのではないでしょうか。

文・渡辺多絵 編集・すずらん イラスト・Michika