『週刊プレイボーイ』では、写真集情報や画像・動画を発信する「週プレ@グラビア(@shupure)」(左)と、ニュース配信の「週プレNEWS(@shupure_news)」のふたつのアカウントを運営中。Twitter Blueのローンチでこれらのアカウントも劇的進化する!?
Twitterが月額980円の新サービス「Twitter Blue」をスタート。こちらは、いろいろと機能が追加されたサービスのようですが、その内容とは? そしてTwitterが目指すとされる"スーパーアプリ"とは? SNS界隈(かいわい)の最新情報などを含めて紹介します!
■プレミアム感が高めの青バッジが持てます!
――まずはITジャーナリストの三上洋さんにお聞きします。Twitter Blueはそもそもどんなサービスで、注目の機能とは?
三上 2021年よりアメリカやカナダ、オーストラリアなどで開始された有料サービスで、いくつかの新機能が追加されています。イーロン・マスクはTwitter社の買収後にTwitter Blueを世界展開することを表明していました。
なのでTwitter人気の高い日本でも開始したのでしょう。そんなTwitter Blueで、日本国内でまず注目されたのが【タイムラインに表示される広告が半分カット】される機能です。
Twitter Blueへの加入はスマホやPCのブラウザ、そしてiOSのアプリなどから可能。各種ブラウザからなら月額980円。一方、iOS/iPad OSアプリからだと月額1380円と大幅に価格アップ!
――半分とか微妙すぎッ! 「YouTube Premium(月額1180円)」なら広告オールカットだし!
三上 それもあってか、Twitter Blueが発表されると、"「YouTube Premium」がお得!"とTwitterのトレンド入りしていました(笑)。もちろん、これ以外にも新機能があり、注目なのは【契約者のアカウントに青バッジを表示できる】ことです。
――青バッジって、アカウント名の右横にあるやつですよね。それこそ「週プレ@グラビア(@shupure)」にも表示されていますよ。これ、どんな意味があるんですか?
三上 認証バッジと呼ばれています。青バッジには2種類あり、「週プレ@グラビア(@shupure)」のアカウントのようにTwitter Blueのサービス開始以前から青バッジが表示されているもの。
これはTwitter社から【著名で信頼に値するアクティブかつ、公共の利益にかなったアカウント】と認証されていることを意味します。青バッジが表示されているアカウントはインフルエンサー、有名メディアやスポーツチームなどがあり、青バッジはユーザーにとってプレミアム感が高い。
一方、私のアカウント「三上洋(@mikamiyoh)」に表示される青バッジはTwitter Blueに加入したことで表示されたものです。つまりフォロワー数や著名という理由ではなく課金ドーピングですね(笑)。
三上洋さん(左)と週プレ@グラビア(右)、どちらにも同じ青バッジが表示されているが、実はこのふたつは別物。三上洋さんはTwitter Blueへの加入で表示される青バッジで、週プレ@グラビアはフォロワーが多く「著名で信頼に値するアクティブなアカウント」とTwitterから認証されたことを示す青バッジ。スマホならバッジ部分をタッチすることで、どちらの種類なのかをチェックできる
――でも、この青バッジは「週プレ@グラビア(@shupure)」と「三上洋(@mikamiyoh)」で見分け不可。これなら見た目的にはプレミアム感あってイキれるんじゃないですか!
三上 はい。一瞬だけごまかせます(笑)。青バッジをクリックやタッチすると、その種別が表示される仕組みになっており、すぐ判別できるんですよ。また、この認証バッジは青以外にも種類があり、多国間機関や各国の政府関係のアカウントを示す灰バッジ、Twitterに認証された事業者であることを示す金バッジも昨年の12月から導入されています。
――ほかにどんな機能が?
三上 実際に使ってみて便利だと感じたのはツイートの編集機能です。文章の修正はもちろん、画像のサシカエや追加も行なえます。
――"Twitterあるある"の画像や文章の誤爆対策として有能ですね!
三上 私のようなメディア側の人間にとっては大変に重宝しますし、店舗を経営している方にも投稿後の修正はいろいろと便利に使えるでしょう。ただし、編集は5回まで30分以内という制限があり、リプライされたツイートは編集できません。
また、ツイートの取り消し機能もあり、こちらはツイート後に5〜60秒の間で取り消し猶予時間が設けられ、この間に取り消しを行なうことが可能になります。
――あと、【Twitter内の検索結果で上位に表示される】機能も実装されるそうですけど、これは?
三上 例えば【千代田区 ラーメン】と検索された場合、Twitter Blueに加入しているアカウントやツイートが上位に表示されやすくなる機能です。それこそ店舗を経営している方などは活用しやすいし、ニッチな趣味ネタやアイドルの推し活などにも適しています。
――確かに推し活とは親和性が高そう!
三上 それでいうと動画も高画質の長尺に対応しました。フルHD画質で最長60分までの動画投稿が可能になります。アイドルや新商品の紹介動画など、こちらもビジネス面での活用に期待できます。
動画の高画質化と長尺化に対応するのもTwitter Blueのウリ。アイドルや芸人など、イメージ映像やネタをしっかり見せつつ拡散力があるメリットは大きい
――加入する場合の注意点などは?
三上 まず本人認証として携帯電話番号の登録が必要です。そして価格です。各種ブラウザからの加入なら月額980円ですが、iPhoneのiOSなどのアプリからの加入では月額1380円になります。
――ボッタクリすぎッ!
三上 Appleはアプリ内での決済で手数料を取っているため、この価格設定になります。機能的にはどちらから加入しても同じなので、加入は必ずブラウザから行なってください!
――ところで、"ポストTwitter"的なSNSは登場しないのですか?
三上 近年、ユーザーが目的によって利用するSNSを使い分ける傾向にあります。例えば情報収集や拡散が目的ならTwitterやインスタ。メッセージのやりとりはインスタやフェイスブックのDM。動画ならYouTube、TikTokというように使い分けることが多い。なので、この超大手と争って新規参入するのは難しいでしょう。
その一方、Twitter Blueは【本人認証と課金】、そして【長尺動画】という部分が追加されたことで今後もさらなるアップグレードが考えられます。それがスーパーアプリ化です。Twitterに各種SNSの人気要素をプラスしつつ、本人認証が整ったことでコード決済やEC機能なども実装しやすくなります。
決済やECでの"手数料ビジネス"が最も収益が大きく、これまでオンライン決済のPayPalやEVのテスラを大成功させてきた優秀なビジネスマンであるイーロン・マスクならスーパーアプリ化を考えているはずです。
■Twitterの上位互換は中国にあり!?
では、ここからはスーパーアプリ、そして"中国版Twitter"と紹介されることの多い『微博(ウェイボー)』についても解説してもらいます。
――中国IT事情に精通するジャーナリストの高口康太さん。中国版Twitterと本家Twitterの違いとは?
高口 そもそも微博は、報道などで便宜上"中国版Twitter"と呼ばれていますが、本家とは提携関係などはありません。ただ先ほどの、"各種SNSの人気要素が統合"されているという部分を、微博はすでに実現しています。
――具体的にどんな機能があるんですか?
高口 情報の閲覧・拡散ができるタイムラインはもちろん、TikTokのような縦画面のショート動画、YouTubeのような長尺の高画質の動画投稿・視聴機能を備えています。また、決済機能はありませんが、メッセージ機能やECもあります。
そして、ユーザー的に最も楽しんでいるのが「投げ銭」機能です。これにより動画配信だけでなく、書き込みやツイート的な発言でもユーザーは収益を得ることができます。
もちろん、運営側にはEC、音楽や動画販売、そして投げ銭での手数料収益が発生します。エンタメ特化型のスーパーアプリとして進化したのが現在の微博なんです。
報道では「中国版Twitter」と紹介されがちな中国最大のSNS・微博(ウェイボー)。Twitterのようなタイムライン、ニュース、縦横の動画、メッセージ機能などを搭載したエンタメ特化型のスーパーアプリともいえる仕様。それこそ中国に関する報道や、TwitterやTikTokのおもしろ&グロ系動画のソースは微博からの転載が定番
――札束で叩くスタイルがいかにも"中国版"ですけど、スペック的にはTwitterの超上位互換じゃん!
高口 そして世界で唯一純粋なスーパーアプリといえるのが『WeChat(ウィーチャット)』です。もともとはメッセージ中心のSNSアプリでしたが、ミニアプリと呼ばれる機能を追加し、各種決済から行政の手続き、動画やゲーム、マンガなどのエンタメ機能まで実装されてスーパーアプリ化しました。
ただ、WeChatのスーパーアプリ化に関しては実店舗やオンラインの各種決済、旅行関連や映画の予約など、中国内のオンラインの環境が整っておらず、やむをえずWeChatに実装していったという経緯があります。
もともとLINEのようなメッセージ中心のアプリだったが、タイムライン、コード決済、銀行や行政機能、ゲーム、動画などのミニアプリを追加してスーパーアプリ化。現在ではショート動画も大ヒットしている。中国では仕事や家族間など、グループでの通話やメッセージに使用されることが多い
――スーパーアプリは苦肉の策から誕生したと?
高口 はい。中国以外の国では、微博のようなエンタメ特化型スーパーアプリのほうが実現しやすいでしょうね。
――ユーザーはどのように活用しているのですか?
高口 投げ銭です。とにかく目立って投げ銭をもらう。ちょっとおもしろい発言をすれば2000〜3000円稼げるし、バズれば即、案件が転がり込み、自身のECをオープンしてさらに収益を得ることもできます。スーパーアプリだからこそ、こういった環境が整えられるのです。
微博やWeChat(ウィーチャット)など中国SNSには「投げ銭」機能が実装されており、動画だけでなく書き込みでも収入を得ることができるのが特徴。写真のように映えスポットでのカラオケがバズったら、老若男女一斉に歌配信を開始。中には月に200万円以上稼ぐカラオケ配信者も!!
――具体的にどんな発信を?
高口 例えば映(ば)えスポットでのカラオケ配信がはやれば、みんなそこで歌い始めます。でも、一番稼げるのはゲーム実況ですね。トップ配信者の旭旭宝宝(シューシューバオバオ)さんは投げ銭で年間10億円を稼ぎます。
中国にもTwitchのようなゲーム配信専門のプラットフォームがあり、もちろん投げ銭OK。トップ配信者の旭旭宝宝さんは年間10億円以上の投げ銭をゲットしている
――日本トップのゲーム配信者、加藤純一さんのスパチャ2億円がかすむレベル! おじさんとかでも稼げるの?
高口 塾や大学講師が配信者に転職したり、中国伝統のストレッチや漢方を教えるトーク中心の技術系は、おじさんやおばさんが多いです。ちなみに、フォロワー数500万人超えの日本人インフルエンサー、俳優の矢野浩二さんとドキュメンタリー監督の竹内亮さんも、おじさんです(笑)。
俳優の矢野浩二さん(左)、ドキュメンタリー映画監督の竹内亮さん(右)共に、微博のフォロワー数は500万人超え。これは木村拓哉さん公式アカウントの倍のスコア。どちらのおじさんも、流暢な中国語でのおもしろトークが人気だ
――このような中国スタイルのスーパーアプリは海外でもウケると思いますか?
高口 中国型はどんなユーザーにも簡単に稼げる手段が豊富に用意されているのが最大のウリです。ただし、投げ銭や案件など、すべて運営側で管理するのが大前提。この方式は運営側の収益がアップするのは間違いありませんが、その圧倒的な拝金主義がユーザーに受け入れられるか? そこがポイントです。
――Twitter Blueから始まる、Twitterのスーパーアプリ化。誰でも手軽に稼げる環境になるなら、ウェルカムですっ!
取材・文/直井裕太
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