文化庁が1月18日から、文化芸術分野における契約トラブルについて、無料の相談窓口を開設している。

文化芸術分野では、フリーランスや小規模な団体が多く、不利な条件で働かざるを得ない状況が生じているとして、文化庁は2022年7月にガイドラインを公表するなど、対策を講じてきた。

文化庁の担当者によると、今回の相談窓口はそうした対策の一環として開設されたという。

●コロナ禍で中止になったイベントの反省を活かす

相談窓口を利用できるのは、文化芸術活動をおこなう芸術家と事業者(個人事業主含む)。なお、文化庁によると、YouTuberやVTuberの場合は、個別のケースによるという。

相談は文化庁のサイトから、相談フォームで受付し、文化庁が業務委託する「弁護士知財ネット」が、相談者へメールで回答する。内容によっては、電話やオンラインによる対応もおこなう。

相談内容は、文化庁の担当者にも共有されるが、相談を受けた弁護士とともに守秘義務を負うため、他人に知られることはない。

弁護士は対策などのアドバイスはおこなうが、契約に関する権利行使(相手方との交渉、訴訟手続きなど)や、そのための各種調査・証拠保全は対象外という。

文化庁の担当者は、弁護士ドットコムニュースの取材に「コロナ禍では、公演が中止になっても契約書がなかったために報酬や国の支援が得られなかったケースがありました。きちんと契約が結ばれていないと、不測の事態に対応できません。そのため、ガイドラインを作成して今回の相談窓口も開設しました」と話している。

文化庁ではこれ以外にも、契約の知識が得られるよう、劇場や音楽ホールの職員や舞台技術スタッフ、オーケストラ・バレエ・演劇の実演者、舞台芸術制作者、フリーランスのアーティストなどを対象とした研修会を実施している。

●文化芸術分野の契約等に関する相談窓口
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/kibankyoka/madoguchi/

●文化芸術分野の適正な契約関係構築に向けたガイドライン
https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/93744101.html