明石家さんまが自身のラジオ番組で語った『水曜日のダウンタウン(水ダウ)』(TBS系)の舞台裏エピソードが、話題を呼んでいる。

 1月18日放送の『水ダウ』の企画「身代わり数珠つなぎカラオケ」は、千葉県の茂原駅から車で20分ほどの山奥に設置された、プレハブ型カラオケボックス「歌い放題!! カラオケメドレー」が舞台。ここに“監禁”された芸人は、知り合いの芸能人をカラオケボックスに招き、歌を歌わせなければならない。呼ばれた人間が自分のカラオケの点数を上回ることができれば、その相手を身代わりにして、脱出することができる。点数が下回れば脱出失敗となり、また別のターゲットを探さなければならないという過酷なルールだ。

 茂原まで行くだけでも高いハードルだが、さらに、カラオケが自分より上手くなければいけない。一般人なら、最初のハードルをクリアできずに終わってしまいそうな企画だが、そこは有名芸能人。「米倉涼子がいる」「会社の社長がいる」などの誘惑に加え、先輩・後輩の絆など、さまざまな要素が絡み合い、茂原まで足を運ぶ芸人が現れるのだった。

 最初に“監禁”されたコロコロチキチキペッパーズ・ナダルは、先輩芸人の水玉れっぷう隊・ケンを「米倉涼子がいる」と呼び出した。ケンはナダルの点数を上回り、2代目の住人となる。そして、ケンは次長課長・河本準一に誘いの電話をかけ、河本を呼び出すことに成功した。河本が「カラオケメドレー」に到着したのは深夜1時。東京から茂原までのタクシー代は39900円だった。

 この際のエピソードを、1月18日、河本とケンが、ケンのYouTube「ケンBOYチャンネル」で明かした。

 河本はこの日、明石家さんまと一緒に新幹線で東京へと向かっていた。そこに、ケンからの電話がかかってきたのだ。誘いの電話を終えて、河本が訝しげに席に戻ると、さんまが声をかけた。

さんま「どないしたんや?」

河本「ケンさんが米倉涼子さんと打ち上げをやってるって。どう思います?」

さんま「行ったらええんちゃうか? 嘘でもほんまでも、いかんと話にならへんやないかい。ホンマやったとき用に勃起薬渡しておくわ」

河本「そんなとき、ないでしょう!」

 さんまは、1月21日放送の『ヤングタウン土曜日』(MBSラジオ)で、リスナーから質問を受け、このことについてさらに詳しく語った。

 まず「さんまさんが(カラオケに)誘われたら行きますか?」の問いに、さんまは「飛んでいくで。行かなきゃ何か生まれないしね」と答えた。そして、当時の会話を再現してみせた。

河本「これ、絶対ドッキリですよね。こんなの行けませんわ」

さんま「ドッキリやろ。アホかお前、行けアホ! ドッキリやから絶対に放送になるし」

 このさんまの発言に対して、SNS上では称賛する声が多数上がった。

《明石家さんまってやっぱりすごいな》

《さんまさんの芸人根性はさすがやで、四万円なんてすぐ元取れるもんな》

《持ってる人のアドバイスは的確ですね》

《どっちにしても飯の種になるもんな。論理的だわ》

 一方、こんなコメントも。

《こういう発言を公にするって、河本にもだし全芸人への営業妨害な気がする。ドッキリの面白さが半減するやん》

《カラオケ小屋がなんで都心から2時間近くかかる足の不便な場所に置いていたのか制作側の意図をいまいち理解できずにいたけど、「クッソ遠いところに呼び出し」というのが(ドッキリ)番組であるというサインなのね。なるほど》

『水ダウ』は、芸人に対して「千葉の茂原」というワードを介して、暗に「ドッキリの企画だぞ!」というメッセージを送っており、それを受け取った芸人たちがどう対処するのか、芸人としての力量が問われるというのが企画の本質だった――そんな、一歩踏み込んだ見方もある。一流の芸人は、ドッキリと理解したうえでドッキリに挑むと、さんまが公言したようなものだ。

「行かなきゃ何か生まれないしね」

 さんまの金言は、多くの芸人たちに響いたことだろう。今後もドッキリ企画の「芸人魂」に期待したい。