スマートフォンは高機能化に伴い、日常使用する上ではオーバースペックになっている傾向にあります。特に最近ではローエンドなスマートフォンですら機種変更をせずに数年使い続けていても、特に不満がないほどの性能になっています。

そんな高性能化が進んでいるスマートフォンの中で、性能以外の魅力を訴求したモデルとしてBALMUDA Phoneがあります。

BALMUDA Phoneは、2021年11月に発売になった個性的なスマートフォンです。
BALMUDAと言えば、個性的な家電をリリースして、スチームオーブントースター、オーブンレンジ、電気ケトル、炊飯器、コーヒーメーカー、ホバー式クリーナー、空気清浄機、加湿器、扇風機、サーキュレーター、デスクライトなど、他社とは違った魅力のある製品を開発し提供しているブランドです。

このBALMUDAの新ブランド「BALMUDA Technologies」の第一弾としてリリースされたのがBALMUDA Phoneです。

BALMUDA Phoneは、家電で人気のBALMUDAブランドのスマートフォンとして注目されました。
しかし性能だけに注目すると、
・小型の4.9インチディスプレイの搭載
・デュアルカメラではなくシングルカメラの採用
・CPUはミドルレンジのSnapdragon 765
・バッテリーは低容量な2500mAh
大型ディスプレイを搭載したスマートフォンが主流の中、このようなスペックながらSIMフリーモデルが10万円超えという価格設定でした。

期待が大きかっただけに、スペックだけを見ると、従来のスマートフォンユーザーには魅力が欠ける端末となっています。

しかし性能以外の部分では、
・背面が球面な独自デザイン
・オリジナルアプリの搭載
こうしたアプローチで新しいモバイルスタイルを提供しています。

BALMUDA Phoneは、性能だけではないスマートフォンの活用と魅力をうまく訴求できれば、高性能化が進むスマートフォン市場に新しいムーブメントを起こす可能性がありました。

結果的には、発売から一年以上経過したBALMUDA Phoneは、中古市場やMNPにて割引で販売されることは多くなっています。
筆者も、ワイモバイルのMNP割引にてBALMUDA Phoneを購入しましたので、改めて使ってみました。


BALMUDA Phoneのパッケージ



BALMUDA Phone



BALMUDA Phoneの背面デザイン


新しいモバイルスタイルの魅力を発揮すべきオリジナルアプリは、実際に使ってみると、常用するのは厳しく感じました。

「スケジュール」は、
独自のUIで日を無限にスクロールでき、縮小機能で月間、年間のスケジュールが一目で視認できるユニークな機能を搭載していますが、このUIで活用するならば、大型ディスプレイの方が適しているように感じました。

「計算機」は、
「億」「万」で桁を区切るユニークな機能が搭載されていますが、仕事で利用する分には、3桁毎に区切るのが通常なため使いにくさを感じてしまいます。

「メモ」は、
メモが取りやすい仕様ではありますが、クラウド同期機能がないため、ローカル使用に限定されます。

「Tools」は、
これらのオリジナルアプリをホーム画面の一つとして追加できるのですが、画面に追加すると2ページ目以降のホーム画面が最後部に回ってしまうため、2ページ目以降のホーム画面が使いにくくなってしまいます。


オリジナルアプリの例(「計算機」)


BALMUDA Phoneで、一点、魅力を感じるとすれば、それは小型である点です。

BALMUDA Phoneは、小型スマートフォンの代表でもあるiPhone 13 miniやiPhone SEと比較しても小型(123×69×13.7mm)で、重量に関してもiPhone SEの144g、iPhone 13 miniの140gと比較して、BALMUDA Phoneは138gともっとも軽くなっています。

BALMUDA Phoneの小型・軽量の最大メリットは、片手で操作できることです。
iPhone 13 miniやiPhone SEで片手操作が厳しいことがありますが、BALMUDA Phoneでは片手で操作できる端末なのです。
背面の球面デザインも手のひらに収まりやすく、片手操作を助けてくれます。
ただ軽量化のため本体内蔵のバッテリーは2500mAhと容量が少ないため、一日フルに利用するにはバッテリーが持たないことから、モバイルバッテリーは必須となるでしょう。

それでもBALMUDA Phoneの片手で使える小型・軽量な本体は、大きさは魅力を感じました。


サイズ比較(左からBALMUDA Phone、iPhone 13 mini、iPhone SE)


また現在のミドルレンジ以下の性能面も、日常生活でのネット利用では、それほど動作速度において不満は感じません。
4.9インチという小型ディスプレイが幸いしてか、ブラウザやSNSアプリ、動画アプリなどの利用でも画面描写でもたつくシーンはありませんでした。
またディスプレイの品質も良く、動画や写真が閲覧しやすくなっています。
カメラに関しても高性能ではありませが、メモ程度の写真と割り切って使えば近接撮影ができますので使いやすいと感じました。


写真の作例


BALMUDA Phoneは、
片手で操作できる小型スマートフォンとして見れば、決して悪くないスマートフォンだと感じています。

大型ディスプレイが主流となっている現在のスマートフォン市場において、小型であることがどれほど消費者に訴求できるのか、疑問でありますが、日常で使うスマートフォンを小型にしたいというユーザーに選択肢の一つとしてお勧めできると思います。

BALMUDA Phoneは、性能と価格のバランスが悪いという課題はありますが、現在は安く入手することができるようになってきています。
性能以外の魅力を感じることができれば、BALMUDA Phoneに再注目してもよいのではないでしょうか。




執筆 伊藤浩一