モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜〜金曜6:00〜9:00)。今回の放送コーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「食品値上げラッシュ第2波到来 インフレ率を超える賃上げは?」。情報社会学が専門の学習院大学 非常勤講師・塚越健司さんに解説していただきました。

吉田明世、塚越健司さん、ユージ



企業を専門対象とする日本国内最大手の信用調査会社「帝国データバンク」が1月5日(木)に発表した「2022年12月末時点の集計」によると、主要な食品会社105社が公表した「2023年の食品値上げ」は、4月にかけて7,390品目となりました。

特に来月2月は4,283品目が予定されており、2022年10月に続く値上げラッシュの“第2波”が到来する見通しとなっています。こうしたなか、岸田文雄首相は1月5日(木)、経済3団体の新年祝賀パーティーに出席し、「インフレ率を超える賃上げ」の実現へ協力を求めました。

◆2月は値上げラッシュに…

塚越:昨年10月が6,699品目と非常に多かったのですが、2月の値上げ品目は、それに続くレベルということです。その内容は、冷凍食品や水産練り物製品といった加工食品が5割くらいです。

また、「帝国データバンク」(のデータ)によると2023年は、特にお菓子などによくある“価格は変えずに量だけを減らす”「実質値上げ」が多くなるのでは、とのことです。

一方で、大事なのが私たちの賃金。厚生労働省によると、物価変動を反映させた昨年11月の実質賃金は、前年同月比3.8%減。これは消費税が5%から8%に上がったことで実質賃金が落ちた2014年以来の下落幅で、非常に下がっています。

また、現金給与額自体はずっと上がっているのですが、実質賃金で考えると8ヵ月連続でマイナス。“賃金は上がっても物価高騰に追いついていない”というのが現状といった感じです。

吉田:賃上げが重要になってくるわけですが、今年の春闘での賃上げについて、企業や経済団体のトップは、どのように受け止めているのでしょうか?

塚越:「連合(日本労働組合総連合会)」は、基本給を底上げする「ベースアップ」を含めて、「5%程度の賃上げ」を求めています。また、岸田首相も企業に「賃上げを頑張ってください」と言っているということですが、これに大企業は反応しています。

例えば、「サントリーホールディングス」は春闘(春季労使交渉)で「6%の賃上げ」をおこなう方針です。「日本生命」は、2023年度、約5万人の営業職員を対象として「7%程度の賃上げ」を。「キヤノン」はベースアップとして、全従業員の「基本給を一律7,000円引き上げ」という感じでおこなっている企業もあります。

ただ、重要なのは、労働者の7割を占める中小企業の従業員です。大手に比べると経営基盤が厳しく、「日本商工会議所」の小林健会頭は、「持続的な賃上げのためには、大企業との取引価格の適正化が不可欠だ」と述べています。

◆インフレ率を超える「賃上げ」…どうすれば実現できる?

塚越:賃上げは大事ですが、重要になのは“その場で”ということではなく、“中長期的”に見て産業構造改革があったり、それによって生産性の向上があったりすることなんです。でも、これまで20年間ずっと言われ続けてできなかったことですから、やはり簡単なことではありません。

さらに、この20年は停滞が続いています。例えば、昨年には「日本経済研究センター」の予測で、日本が「名目GDP」(注:その年の経済活動の水準を算出したもの)で韓国に2027年、台湾に2028年に抜かれるのではないか、と話題になりました。やはり“日本経済は厳しいな”というのがあります。

その上で、賃上げなど日本の産業全体にとって重要なのが、支援の“方法”なのかなとも。先ほど述べた、「産業構造改革」を本気でおこなうのであれば、少し厳しい言い方になりますが、すでに業績が厳しく、成長が望めない企業の延命につながる支援ではなく、例えば、業態や分野を変えるための支援や、そうしたなかで失業してしまった方には、職業訓練などの制度を充実させて、より生産性の高い職業に就業できる支援でないと、将来的な産業構造改革・生産性向上にはなりません。

もちろん、中小企業は支援しなくていいと言っているわけではなく、みんな頑張っているなかで、あくまでも“支援の仕方”をもっと考える必要があるのでは、ということです。

もう1つは、中小企業のなかには「グローバルニッチ」と呼ばれる、非常にニッチな領域で世界的なシェアを持つ企業があり、経産省も注目しています。小さな部品などを作るタイプの企業は、海外の需要に合わせたモノを作る力はあるのですが、経営基盤が大きくないので、どういう需要・ニーズがあるのか、どういうモノを作ってほしいのかをリサーチする力が弱いので、そういった海外輸出に関するマーケティングを支援すると、グローバルニッチな領域でシェアを持つ企業が増えていきます。(日本は)“モノづくりの国”と言われていますので、そのあたりを支援してもらって頑張っていただければなと思います。

<番組概要>
番組名:ONE MORNING
放送日時:毎週月〜金曜6:00〜9:00
パーソナリティ:ユージ、吉田明世
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/one/